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【STEP1】株式移転設立完全親会社における個別財務諸表上の会計処理
株式移転設立完全親会社は、設立に伴い受け入れる株式移転完全子会社の株式を計上し、合わせて株主資本を計上する。
(1) 株式移転完全子会社の取得原価の算定
① 原則
株式移転の「株式移転日の前日」における株式移転完全子会社の適切な帳簿価額による株主資本の額により算定する(企業会計基準適用指針第 10 号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(以下、「指針」という)」258、239(1)①ア)。
② 簡便的な取り扱い
株式移転完全子会社の株式移転日の前日における適正な帳簿価額による株主資本の額と、直前の決算日において算定された当該金額との間に重要な差異がないと認められる場合(※)には、株式移転完全子会社株式の取得原価は、株式移転完全子会社の「直前の決算日」に算定された適正な帳簿価額による株主資本の額により算定することができる(指針258、239(1)①イ)。
(※) 株式移転完全子会社の直前の決算日後に、多額の増資、自己株式の取得等の資本取引、重要な減損損失の認識がないなど、株式移転日の前日までの間に適正な帳簿価額による株主資本の額に重要な変動が生じていないと認められる場合をいう(指針404-3)。
(2) 株式移転設立完全親会社の株主資本の金額
株式移転設立完全親会社の株主資本は、会社計算規則52条に従い、株式移転完全子会社の財産の帳簿価額をもとに計上する。具体的には、株式移転計画で、資本金と資本準備金を定め、株式移転完全子会社の株主資本と資本金及び資本準備金の差額をその他資本剰余金として計上する。したがって、株式移転完全子会社の利益剰余金の金額は、株式移転設立完全親会社において利益剰余金として計上されない。
【留意点】
株式移転完全子会社の株主資本がマイナスの場合、そのマイナス額を、その他利益剰余金として計上する(会社計算規則52②ただし書)。
この場合、子会社株式をマイナスとすることはできないため、負債に特別勘定として計上する(会社計算規則12)。
なお、株式移転完全子会社は、株主が変わるだけであるため、会計処理は不要である。