谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第9回】
「租税法律主義と実質主義との相克」
-税法上の目的論的事実認定の過形成②-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前回は、「租税法律主義と実質主義との相克」について、税法上の目的論的事実認定の過形成①として、私法上の法律構成による否認論の意義及び狙い・位置づけを述べた上で、租税法律主義の見地からその許容性を否定する私見を述べたが、今回は、私法上の法律構成による否認論について判例がどのような立場に立っているかを検討することにしたい。
既に前回、下級審において①映画フィルムリース[パラツィーナ]事件・大阪高判平成12年1月18日訟月47巻12号3767頁、②ガーンジー島法人所得税制事件・東京高判平成19年10月25日訟月54巻10号2419頁、③住所国外移転[武富士]事件・東京高判平成20年1月23日訟月55巻2号244頁等で、私法上の法律構成による否認論(②③については、これより射程の広い事実認定による否認論)が採用されたものと解される旨を述べたが、今回は、それらの事件の上告審において、最高裁がどのような判断を示したのかを検討することにする(拙著『租税回避論』(清文社・2014年)第3章第2節参照)。
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