谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第21回】
「租税法律主義と租税回避との相克と調和」
-租税回避の意義-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
「『租税あるいは税法のあるところ必ず租税回避あり。』といってもよいほど、租税回避は税法の宿命的課題である。」(拙著『租税回避論-税法の解釈適用と租税回避の試み-』(清文社・2014年)はしがきⅰ)が、「租税回避とは何か」(今村隆『租税回避と濫用法理-租税回避の基礎的研究-』(大蔵財務協会・2015年)10頁[初出・2008年])という問いかけについては、「租税回避の意義については、実定法上の定義規定はない。学説においても、必ずしも一致したものはない。」(田中治「租税回避否認の意義と要件」岡村忠生編『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(ミネルヴァ書房・2015年)39頁)というようなことがしばしばいわれる。
ただ、「税法の宿命的課題」である租税回避について、租税法律主義との関係を論ずるに当たっては、やはり、その意義を明らかにしておく必要があろう。租税法律主義が税法に関する憲法上の基本原則であり、かつ、その意義が学説・判例で確立されている以上、租税法律主義との関係で租税回避を検討する場合には、租税回避の意義を明らかにし、もって検討に当たっての「変数」をなくしておく必要があると考えるところである。
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