公開日: 2019/11/14 (掲載号:No.344)
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谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第23回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-租税回避は結果概念か行為概念か-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基礎理論

【第23回】

「租税法律主義と租税回避との相克と調和」

-租税回避は結果概念か行為概念か-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前々回でみた、課税要件アプローチによる租税回避の包括的定義、すなわち、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(【66】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号[以下同じ])からすると、租税回避は、課税要件の充足回避による租税負担の軽減・排除という結果に着目した概念(結果概念)である。

これに対して、租税回避について、学説・実務上の言葉遣いとして、「租税回避行為」という言葉が「租税回避」と特に区別されることなく用いられることがしばしばあるように思われる(例えば、下記=清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)44頁、下記=金子宏『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2019年)135頁、下記=ヤフー事件・最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁。いずれも下線筆者)。このことからすると、租税回避は行為概念であるようにも思われる。

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税法基礎理論

【第23回】

「租税法律主義と租税回避との相克と調和」

-租税回避は結果概念か行為概念か-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前々回でみた、課税要件アプローチによる租税回避の包括的定義、すなわち、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(【66】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号[以下同じ])からすると、租税回避は、課税要件の充足回避による租税負担の軽減・排除という結果に着目した概念(結果概念)である。

これに対して、租税回避について、学説・実務上の言葉遣いとして、「租税回避行為」という言葉が「租税回避」と特に区別されることなく用いられることがしばしばあるように思われる(例えば、下記=清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)44頁、下記=金子宏『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2019年)135頁、下記=ヤフー事件・最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁。いずれも下線筆者)。このことからすると、租税回避は行為概念であるようにも思われる。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

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