谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第23回】
「租税法律主義と租税回避との相克と調和」
-租税回避は結果概念か行為概念か-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前々回のⅢでみた、課税要件アプローチによる租税回避の包括的定義、すなわち、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(【66】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号[以下同じ])からすると、租税回避は、課税要件の充足回避による租税負担の軽減・排除という結果に着目した概念(結果概念)である。
これに対して、租税回避について、学説・実務上の言葉遣いとして、「租税回避行為」という言葉が「租税回避」と特に区別されることなく用いられることがしばしばあるように思われる(例えば、下記①=清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)44頁、下記②=金子宏『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2019年)135頁、下記③=ヤフー事件・最判平成28年2月29日民集70巻2号242頁。いずれも下線筆者)。このことからすると、租税回避は行為概念であるようにも思われる。
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