谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第39回】
「租税法律主義と租税回避との相克と調和」
-不当性要件と経済的合理性基準(5)-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前々回から、ユニバーサルミュージック事件・東京地判令和元年6月27日(未公刊・裁判所ウェブサイト)における不当性要件に関する同判決の判断枠組みを検討してきたが、前々回のⅢ2では、その判断枠組みにおける経済的合理性基準に係る相応性基準による裁量審査(相応性審査)について、行政法における比例原則が行政庁の裁量を認めつつその裁量を限界づける場合における裁量審査と、思考方法及び審査構造の点で、類似するものとの見方を示しておいたところである。
今回は、行政法における比例原則についてその意義・内容・機能を概説した上で、その機能に関連して裁量審査の考え方の傾向を整理し、相応性審査との本質的差異を意識しつつ、裁量審査の方法として一般化することができる内容を抽出することにしたい。
Ⅱ 比例原則の意義・内容・機能
比例原則については、「よく知られているとおり、ドイツ警察法に由来する」(高橋明男「比例原則審査の可能性」法律時報85巻2号(2013年)17頁)といわれるが、その思想的背景及び成立・発展については次のように述べられている(①は萩野聡「行政法における比例原則」ジュリスト増刊(法律学の争点シリーズ9)・行政法の争点(第3版・2004年)22頁(下線筆者)、②は須藤陽子『比例原則の現代的意義と機能』(法律文化社・2010年)6頁)。
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