公開日: 2020/07/09 (掲載号:No.377)
文字サイズ

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第39回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-不当性要件と経済的合理性基準(5)-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基礎理論

【第39回】

「租税法律主義と租税回避との相克と調和」

-不当性要件と経済的合理性基準(5)-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前々回から、ユニバーサルミュージック事件・東京地判令和元年6月27日(未公刊・裁判所ウェブサイト)における不当性要件に関する同判決の判断枠組みを検討してきたが、前々回Ⅲ2では、その判断枠組みにおける経済的合理性基準に係る相応性基準による裁量審査(相応性審査)について、行政法における比例原則が行政庁の裁量を認めつつその裁量を限界づける場合における裁量審査と、思考方法及び審査構造の点で、類似するものとの見方を示しておいたところである。

今回は、行政法における比例原則についてその意義・内容・機能を概説した上で、その機能に関連して裁量審査の考え方の傾向を整理し、相応性審査との本質的差異を意識しつつ、裁量審査の方法として一般化することができる内容を抽出することにしたい。

 

Ⅱ 比例原則の意義・内容・機能

比例原則については、「よく知られているとおり、ドイツ警察法に由来する」(高橋明男「比例原則審査の可能性」法律時報85巻2号(2013年)17頁)といわれるが、その思想的背景及び成立・発展については次のように述べられている(は萩野聡「行政法における比例原則」ジュリスト増刊(法律学の争点シリーズ9)・行政法の争点(第3版・2004年)22頁(下線筆者)、は須藤陽子『比例原則の現代的意義と機能』(法律文化社・2010年)6頁)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

谷口教授と学ぶ

税法基礎理論

【第39回】

「租税法律主義と租税回避との相克と調和」

-不当性要件と経済的合理性基準(5)-

 

大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

前々回から、ユニバーサルミュージック事件・東京地判令和元年6月27日(未公刊・裁判所ウェブサイト)における不当性要件に関する同判決の判断枠組みを検討してきたが、前々回Ⅲ2では、その判断枠組みにおける経済的合理性基準に係る相応性基準による裁量審査(相応性審査)について、行政法における比例原則が行政庁の裁量を認めつつその裁量を限界づける場合における裁量審査と、思考方法及び審査構造の点で、類似するものとの見方を示しておいたところである。

今回は、行政法における比例原則についてその意義・内容・機能を概説した上で、その機能に関連して裁量審査の考え方の傾向を整理し、相応性審査との本質的差異を意識しつつ、裁量審査の方法として一般化することができる内容を抽出することにしたい。

 

Ⅱ 比例原則の意義・内容・機能

比例原則については、「よく知られているとおり、ドイツ警察法に由来する」(高橋明男「比例原則審査の可能性」法律時報85巻2号(2013年)17頁)といわれるが、その思想的背景及び成立・発展については次のように述べられている(は萩野聡「行政法における比例原則」ジュリスト増刊(法律学の争点シリーズ9)・行政法の争点(第3版・2004年)22頁(下線筆者)、は須藤陽子『比例原則の現代的意義と機能』(法律文化社・2010年)6頁)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#