公開日: 2014/05/29 (掲載号:No.71)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第5回】「連結財務諸表における税効果会計」

筆者: 西田 友洋

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【STEP2】法定実効税率の算定

連結財務諸表固有の一時差異に係る繰延税金資産及び繰延税金負債も、個別財務諸表と同様に一時差異に法定実効税率を乗じて算定する。
【STEP2】では、この法定実効税率を算定する。

未実現損益の消去に係る一時差異とそれ以外の一時差異で用いる法定実効税率は異なる。そのため、それぞれで法定実効税率を算定する。

(1) 未実現損益の消去以外の一時差異における法定実効税率

(2) 未実現損益の消去に係る一時差異における法定実効税率

 

(1) 未実現損益の消去以外の一時差異における法定実効税率

未実現損益の消去以外の一時差異における法定実効税率の計算方法は、個別財務諸表と同じため、第4回「個別財務諸表における税効果会計」を参照のこと。

また、連結財務諸表においても個別財務諸表と同様に、納税会社ごとに連結決算日又は子会社の決算日現在における税法規定に基づく法定実効税率を適用する。したがって、改正税法が当該決算日までに公布されて(施行ではない)おり、将来の税率改正が確定している場合は改正後の法定実効税率を適用する。

ただし、子会社の決算日が連結決算日と異なる場合、連結決算日又は仮決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続により決算を行っているときは、当該子会社で適用する法定実効税率は、連結決算日又は仮決算日現在における税法の規定に基づく法定実効税率とする(連結実務指針11)。

 

(2) 未実現損益の消去に係る一時差異における法定実効税率

未実現損益の消去に係る一時差異に適用する法定実効税率は、計算方法は上記(1)と同様であるが、用いる法定実効税率の時点等が異なる。

未実現損益の消去に係る一時差異に適用する法定実効税率は、その取引の売却元に適用される法定実効税率が適用される。また、売却元での実際の課税関係は取引時に終了しているため、売却年度に適用された法定実効税率を用いる
そのため、連結決算日又は仮決算日に改正税法が公布されていても、改正後の法定実効税率は用いない(連結実務指針13)。

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第5回】

「連結財務諸表における税効果会計」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

税効果会計は大きく「個別財務諸表における税効果会計」、「連結財務諸表における税効果会計」、「連結納税における税効果会計」に分けることができる。前回は「個別財務諸表における税効果会計」について解説したが、今回は「連結財務諸表における税効果会計」について解説する。「連結納税における税効果会計」は次回取り上げたい。

連結財務諸表の作成は、親会社及び連結子会社の個別財務諸表を単純合算することから始まる。本解説では、単純合算「後」を解説する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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