〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A
【第68回】
「賃貸併用住宅の建築中等に相続が発生した場合における
小規模宅地等の特例の適用の可否」
税理士 柴田 健次
[Q]
被相続人である甲(相続開始は令和5年1月16日)は、賃貸併用住宅(区分所有登記はされていません)とその敷地であるA土地を所有し、1階から4階までを賃貸用(8部屋で各部屋の床面積は同一)として5階部分を甲とその配偶者である乙及び長男である丙の居住の用に供していました。賃貸の用に供して50年以上経過し建物も老朽化してきたため、建替えを行うことになりました。建替え後の建物は、1階から3階までを賃貸用(6部屋で各部屋の床面積は同一)として4階は甲及び乙の居住用として、5階は丙の居住用として利用することになっています。
甲は、令和4年中に工事請負契約を締結し、同年中に建物の取壊しを行っていますが、建物の引渡しを受ける前に相続が発生しました。甲の相続人は乙及び丙の2人ですが、全ての財産及び債務は丙が承継しています。工事請負契約に係る残代金は、丙が令和5年3月1日に支払い、同日に建物の引渡しを受け、丙名義で建物の登記を行い、同月中に4階部分は乙の居住用として、5階部分は丙の居住用として利用しています。
なお、従前建物の賃借人には立退料を支払い、新たに賃借人を募集し、相続税の申告期限までに6部屋中5部屋は賃貸の用に供していますが、残りの1部屋については、引き続き募集中の状況となります。
工事請負契約の内容等は、下記のとおりですが、相続開始時における工事進捗率が50%で工事の未払金が80,000千円あります。
この場合におけるA土地及び建物に係る相続財産に計上する金額と小規模宅地等に係る特例の適否はどうなりますか。
なお、甲はA土地及び建物以外は、貸付事業を行っていませんので、事業的規模以外の貸付事業に該当します。
【工事請負契約の内容】
・工事請負契約日:令和4年4月1日
・引渡予定日:令和5年3月1日
・工事請負金額:200,000千円
・鉄筋コンクリート造5階建て(各階の床面積は同一)
・支払時期
着手金:60,000千円(工事請負契約日)
中間金:60,000千円(令和4年9月1日)
最終金:80,000千円(引渡日)
※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。
- 土地全体の自用地としての相続税評価額:100,000,000円(土地面積100㎡)
- 借地権割合=60%、借家権割合=30%
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