公開日: 2025/01/16 (掲載号:No.602)
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Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第50回】「〔第5表〕定期借地権の賃料の一部を前払いとして一括で支払った場合における前払地代及び定期借地権の評価」

筆者: 柴田 健次

Q&Aでわかる

〈判断に迷いやすい〉非上場株式評価

【第50回】

「〔第5表〕定期借地権の賃料の一部を前払いとして一括で支払った場合における前払地代及び定期借地権の評価」

 

税理士 柴田 健次

 

経営者甲(令和6年9月1日相続開始)が所有しているA土地は、甲が100%保有している甲株式会社に賃貸していますが、その概要は下記の通りです。甲の相続人である後継者乙は、甲株式及びA土地を相続しています。

【A土地の借地権契約及び評価情報】

借地契約の概要 建物譲渡特約付借地権として平成27年1月に契約を締結しています。甲株式会社は、建物を建築し貸付事業の用に供しています。契約期間は50年であり、賃貸借契約時における想定では甲の相続時に借地契約を承継することになる乙が建物を買い取ることを予定しています。 年間地代は2,000千円ですが、契約期間における全賃料100,000 千円のうち半分に相当する地代50,000千円を前払地代として甲に支払っています。 甲は、50,000千円については前受地代として処理を行い、毎年1,000千円を地代収入に振り替え、実際に支払われる毎年の地代1,000千円については地代収入に計上していますので、毎年2,000千円の地代を不動産収入として申告しています。 借地契約開始時期 平成27年1月1日(50年間) 地代 年間2,000千円(前払地代1,000千円、差額地代1,000千円)。 前払地代50,000千円は平成27年1月に支払われており、差額地代1,000千円については、毎年1月末までに支払われる契約になっています。 地積 200㎡ 権利金、保証金 権利金なし、保証金なし 建物の所有者と利用状況 甲株式会社の不動産賃貸として利用 (相続開始時点において空室なし) 自用地評価額 (相続税評価額) 定期借地権設定時:80,000千円 相続開始時     :90,000千円 複利現価率 複利年金現価率 50年に応ずる基準年利率による複利現価率   :0.608 50年に応ずる基準年利率による複利年金現価率:39.196 40年に応ずる基準年利率による複利年金現価率:32.835

【甲株式会社における直前期末時点における帳簿価額】

前払費用:41,000千円(前払賃料の未経過分相当額に係る債権)

(注) 甲株式会社は12月決算法人であり、土地賃貸借契約から直前期末時点までで9年分の地代を支払っています。前払地代として支払った50,000千円については、前払費用として処理を行い、毎年1,000千円の前払地代を支払地代として経費に振替処理を行っています。

この場合に、甲の相続税の甲株式会社の株式価額の算定上、第5表「1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」の資産の部に計上する前払費用及び借地権の相続税評価額及び帳簿価額は、それぞれいくらになりますか。

なお、純資産価額の計算においては、直前期末方式(直前期末の資産及び負債の帳簿価額に基づき評価する方式)により計算するものとします。

また、甲の貸宅地として評価するべき金額はいくらになりますか。

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Q&Aでわかる

〈判断に迷いやすい〉非上場株式評価

【第50回】

「〔第5表〕定期借地権の賃料の一部を前払いとして一括で支払った場合における前払地代及び定期借地権の評価」

 

税理士 柴田 健次

 

経営者甲(令和6年9月1日相続開始)が所有しているA土地は、甲が100%保有している甲株式会社に賃貸していますが、その概要は下記の通りです。甲の相続人である後継者乙は、甲株式及びA土地を相続しています。

【A土地の借地権契約及び評価情報】

借地契約の概要 建物譲渡特約付借地権として平成27年1月に契約を締結しています。甲株式会社は、建物を建築し貸付事業の用に供しています。契約期間は50年であり、賃貸借契約時における想定では甲の相続時に借地契約を承継することになる乙が建物を買い取ることを予定しています。 年間地代は2,000千円ですが、契約期間における全賃料100,000 千円のうち半分に相当する地代50,000千円を前払地代として甲に支払っています。 甲は、50,000千円については前受地代として処理を行い、毎年1,000千円を地代収入に振り替え、実際に支払われる毎年の地代1,000千円については地代収入に計上していますので、毎年2,000千円の地代を不動産収入として申告しています。 借地契約開始時期 平成27年1月1日(50年間) 地代 年間2,000千円(前払地代1,000千円、差額地代1,000千円)。 前払地代50,000千円は平成27年1月に支払われており、差額地代1,000千円については、毎年1月末までに支払われる契約になっています。 地積 200㎡ 権利金、保証金 権利金なし、保証金なし 建物の所有者と利用状況 甲株式会社の不動産賃貸として利用 (相続開始時点において空室なし) 自用地評価額 (相続税評価額) 定期借地権設定時:80,000千円 相続開始時     :90,000千円 複利現価率 複利年金現価率 50年に応ずる基準年利率による複利現価率   :0.608 50年に応ずる基準年利率による複利年金現価率:39.196 40年に応ずる基準年利率による複利年金現価率:32.835

【甲株式会社における直前期末時点における帳簿価額】

前払費用:41,000千円(前払賃料の未経過分相当額に係る債権)

(注) 甲株式会社は12月決算法人であり、土地賃貸借契約から直前期末時点までで9年分の地代を支払っています。前払地代として支払った50,000千円については、前払費用として処理を行い、毎年1,000千円の前払地代を支払地代として経費に振替処理を行っています。

この場合に、甲の相続税の甲株式会社の株式価額の算定上、第5表「1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」の資産の部に計上する前払費用及び借地権の相続税評価額及び帳簿価額は、それぞれいくらになりますか。

なお、純資産価額の計算においては、直前期末方式(直前期末の資産及び負債の帳簿価額に基づき評価する方式)により計算するものとします。

また、甲の貸宅地として評価するべき金額はいくらになりますか。

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連載目次

Q&Aでわかる
〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価

連載を収録した単行本が好評発売中!!

【第1回】~【第30回】

【第31回】~

筆者紹介

柴田 健次

(しばた・けんじ)

税理士
柴田健次税理士事務所 所長
東京タックスコンサルティング 代表取締役

相続・事業承継を中心に業務を行っている。

【職歴】
2004年4月 資格の大原 簿記法律専門学校講師就任
2008年1月 税理士法人レガシィに勤務
2014年1月 柴田健次税理士事務所設立

【著書】
第4版 評価明細書ごとに理解する/非上場株式の評価実務』(清文社)
間違いやすい事例から理解する 小規模宅地等の特例適否のポイント』(清文社)
Q&Aでマスターする 事業承継税制の実務』(清文社)

  

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