公開日: 2023/05/25 (掲載号:No.520)
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暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第18回】

筆者: 泉 絢也

暗号資産(トークン)NFTをめぐる税務

【第18回】

「NFTに関する税務上の取扱いに係るFAQ詳解⑨」

 

東洋大学法学部准教授
泉 絢也

 

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連載の目次はこちら

 

問11 NFT取引に係る消費税の取扱い①(デジタルアートの制作者)

(問)私はデジタルアート(著作物)の制作を行っている個人事業者ですが、制作したデジタルアートを紐づけたNFTをマーケットプレイスを通じて日本の消費者に有償で譲渡しました。これにより、私はNFTの譲渡を受けた日本の消費者に対して、当該デジタルアートの利用を許諾することとなります。この場合の消費税の取扱いを教えて下さい。

(答)本取引は、デジタルアートの制作者(質問者)が、事業として、対価を得て日本の消費者に対して行う著作物の利用の許諾に係る取引であり、電気通信利用役務の提供として、デジタルアートの制作者に消費税が課されます。

【関係法令等】
消法2、4、5、9、9の2、28、45
消令6、45
消基通達1-4-5、5-1-1、5-1-2、5-7-15 の2、5-8-3、5-8-4

個人事業者であるNFTクリエイターなどがNFTを販売する一次流通のケースである。

 

【電気通信利用役務の提供該当性と内外判定】

FAQの解説では、「本取引は、事業として対価を得て行われるものであり、かつ、電気通信回線を介して行われる著作物(著作権法第2条第1項第1号に規定する著作物)の利用の許諾に係る取引」と認められるとした上で、電気通信利用役務の提供に該当するとしている。

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暗号資産(トークン)NFTをめぐる税務

【第18回】

「NFTに関する税務上の取扱いに係るFAQ詳解⑨」

 

東洋大学法学部准教授
泉 絢也

 

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問11 NFT取引に係る消費税の取扱い①(デジタルアートの制作者)

(問)私はデジタルアート(著作物)の制作を行っている個人事業者ですが、制作したデジタルアートを紐づけたNFTをマーケットプレイスを通じて日本の消費者に有償で譲渡しました。これにより、私はNFTの譲渡を受けた日本の消費者に対して、当該デジタルアートの利用を許諾することとなります。この場合の消費税の取扱いを教えて下さい。

(答)本取引は、デジタルアートの制作者(質問者)が、事業として、対価を得て日本の消費者に対して行う著作物の利用の許諾に係る取引であり、電気通信利用役務の提供として、デジタルアートの制作者に消費税が課されます。

【関係法令等】
消法2、4、5、9、9の2、28、45
消令6、45
消基通達1-4-5、5-1-1、5-1-2、5-7-15 の2、5-8-3、5-8-4

個人事業者であるNFTクリエイターなどがNFTを販売する一次流通のケースである。

 

【電気通信利用役務の提供該当性と内外判定】

FAQの解説では、「本取引は、事業として対価を得て行われるものであり、かつ、電気通信回線を介して行われる著作物(著作権法第2条第1項第1号に規定する著作物)の利用の許諾に係る取引」と認められるとした上で、電気通信利用役務の提供に該当するとしている。

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連載目次

暗号資産(トークン)・NFT をめぐる税務

【第1回】 ★一般会員公開中★

〔連載に当たって〕

【第2回】 ★一般会員公開中★

第1章 暗号資産の税務と課税問題

第1節 暗号資産とは

1 暗号資産の定義

2 通貨該当性・強制通用力の有無

【第3回】 ★一般会員公開中★

3 暗号資産の私法上の性質・位置付け

(1) 総論

(2) 各論

《更なる考察》 「占有=所有」構成

《更なる考察》 私法の議論から得られる示唆

【第4回】

第2節 所得税における暗号資産の税務と課税問題

1 所得税法の暗号資産関連規定

(1) 暗号資産の定義

【第5回】

(2) 暗号資産の贈与・低額譲渡に関する規定

【第6回】

(3) 暗号資産を譲渡した場合の計算に関する規定

ア 棚卸資産と売上原価の計算

イ 暗号資産の譲渡原価の計算

ウ 暗号資産の取得価額

【第7回】

エ 年末時点での1単位当たりの取得価額

(ア) 総平均法と移動平均法

(イ) 評価方法の選定・変更等

【第8回】

(ウ) 相続等により取得した暗号資産の取得価額

【第9回】

(エ) 暗号資産の取得価額がわからない場合と5%通達の問題

NFTに関する税務上の取扱いに係るFAQ詳解

【第10回】

本連載の今後の進め方について

問1 NFTを組成して第三者に譲渡した場合(一次流通)

1 所得の定義

2 「デジタルアートの閲覧に関する権利」が前提とされたことに伴うリスク

3 NFT取引の着眼点とNFTに係る権利の設定という構成

4 一次流通の場合の所得区分

5 法人税の取扱い

【第11回】

問2 NFTを組成して知人に贈与した場合(一次流通)

1 贈与した個人の取扱い

2 贈与した法人の取扱い

問3 非居住者がNFTを組成して、日本のマーケットプレイスで譲渡した場合(一次流通)

【第12回】

問4 購入したNFTを第三者に転売した場合(二次流通)

1 二次流通の場合の所得区分

2 譲渡所得金額の計算

3 「デジタルアートの閲覧に関する権利」という前提

4 法人税の取扱い

【第13回】

問5 第三者の不正アクセスにより購入したNFTが消失した場合

問6 役務提供の対価として取引先が発行するトークンを取得した場合

【第14回】

問7 商品の購入の際に購入先が発行するトークンを取得した場合

【第15回】

問8 ブロックチェーンゲームの報酬としてゲーム内通貨を取得した場合

【第16回】

問9 NFTを贈与又は相続により取得した場合

【第17回】

問10 NFT取引に係る源泉所得税の取扱い

【第18回】

問11 NFT取引に係る消費税の取扱い①(デジタルアートの制作者)

【第19回】

問12 NFT取引に係る消費税の取扱い②(デジタルアートに係るNFTの転売者)

【第20回】

問13 財産債務調書への記載の要否

問14 財産債務調書へのNFTの価額の記載方法

問15 国外財産調書への記載の要否

【第21回】

2 暗号資産取引と所得区分(所得の種類)

(1) 暗号資産取引と所得区分の概要

【第22回】

(2) 譲渡所得該当性を否定する国税庁の根拠

【第23回】

(3) 国会における議論①:譲渡所得該当性を否定する根拠

【第24回】

(4) 国会における議論②:資産ではあるが、譲渡所得の基因となる資産ではない?

【第25回】

(5) 国会における議論③:譲渡所得を肯定する学説と外貨の取扱い

【第26回】

(6) 国税庁の見解に対する疑問

ア 「①清算課税説」

【第27回】

イ 「②支払手段性」

【第28回】

ウ 「③暗号資産の譲渡益の性質」と「④結論」

【第29回】

《更なる考察》邦貨と外貨の交換(両替)と所得税法33条の「譲渡」

【第30回】

3 所得税における暗号資産の信用取引

【第31回】

4 その他雑所得と必要経費

(1) 必要経費の問題

【第32回】

(2) 業務に係る雑所得とその他雑所得の区分とその判断基準

【第33回】

5 マイニング所得と雑所得

(1) マイニングとは

(2) 事案の概要

(3) 基礎事実(請求人による仮想通貨のマイニングについて)

(4) 当事者の主張と争点

(5) 審判所の判断

ア 審判所の判断枠組み

イ 結論と理由

【第34回】

6 異なる種類の暗号資産同士の交換は課税イベントか

【第35回】

7 暗号資産同士の交換時に課税しないという改正要望

【第36回】

8 暗号資産の所得は誰に帰属するか

【第37回】

9 暗号資産の節税コンサルティングの被害と損害賠償

(1) 事案の概要

(2) 事実関係

(3) 裁判所の判断

(4) 類似事案における重加算税の賦課

【第38回】

10 暗号資産に係る所得を分離課税にしてほしいという改正要望

【第39回】

11 詐欺・盗難等による暗号資産の損失①(譲渡原価等と現金類似の取扱い)

【第40回】

12 詐欺・盗難等による暗号資産の損失②(雑所得の基因となる資産の損失)

【第41回】

13 詐欺・盗難等による暗号資産の損失③(雑損控除)

【第42回】

14 秘密鍵を紛失した場合

【第43回】

15 暗号資産交換業者から暗号資産に代えて金銭の補償を受けた場合

(1) 国税庁の見解

(2) 損害賠償金の課税関係

【第44回】

(3) 補償金の非課税所得該当性

(4) タックスアンサーの回答の検討

【第45回】

16 暗号資産の損失と立証責任

(1) 事案の概要

(2) 基礎事実

(3) 争点

(4) 争点についての当事者の主張

【第46回】

(5) 審判所の判断

(6) コメント

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

泉 絢也

(いずみ・じゅんや)

東洋大学法学部准教授
博士(会計学)

2023年3月末まで千葉商科大学商経学部准教授、2023年4月より東洋大学法学部准教授。中央大学ビジネススクール非常勤講師。
(一社)アコード租税総合研究所研究顧問。
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。博士(会計学・中央大学)。
Twitter:@taxlaw17
ブログ:https://note.com/cryptotax/

【著書】
・泉絢也『逐条解説 法人税法第22条の2 収益認識会計基準に対応する法令・通達の論点整理』(清文社2023)(単著)
・泉絢也=藤本剛平『事例でわかる! NFT・暗号資産の税務』(中央経済社2022)(共著)
・泉絢也『パブリックコメントと租税法』(日本評論社2020)(単著)
・酒井克彦編『30年分申告・31年度改正対応 キャッチアップ仮想通貨の最新税務』(ぎょうせい2019)(共著)
・松嶋 隆弘=渡邊涼介編著『仮想通貨はこう変わる!!暗号資産の法律・税務・会計』(ぎょうせい2019)(共著)

【論文】
・「仮想通貨(暗号通貨、暗号資産)の譲渡による所得の譲渡所得該当性-アメリカ連邦所得税におけるキャピタルゲイン及び為替差損益の取扱いを手掛かりとして-」税法学581号3頁以下
・「NFT(ノンファンジブルトークン)の譲渡による所得は 譲渡所得か?もしそうであれば非課税所得か?」千葉商大論叢59巻3号143頁など
・「法人税法における暗号資産税制の問題点(1)・(2完)-期末時価評価課税の改正提言-」千葉商大論叢60巻1号73頁、千葉商大紀要60巻1号61頁
など多数

関連書籍

演習消費税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編 金井恵美子 著

【電子書籍版】資産税実務問答集

後藤幸泰 編 信永 弘 編

事例で学ぶ暗号資産・NFT・メタバースの会計税務Q&A70選

税理士 延平昌弥 著 税理士 山田誠一朗 著 税理士 髙橋健悟 著 税理士 藤原琢也 著 税理士 田村光裕 著 税理士 山中朋文 著

はじめてのインボイス登録と消費税の申告

税理士 小谷羊太 監修 税理士 森本耕平 著

〇×判定ですぐわかる資産税の実務

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

資産税の取扱いと申告の手引

後藤幸泰 編 信永 弘 編

CSVの “超” 活用術

税理士・中小企業診断士 上野一也 著

プロフェッショナル 消費税の実務

税理士 金井恵美子 著

資産税実務問答集

後藤幸泰 編 信永 弘 編

Q&A 居住用財産の譲渡特例大全

税理士 大久保昭佳 著

税法みなし規定の適用解釈と税務判断

税理士 野田扇三郎 著 税理士 山内利文 著 税理士 安藤孝夫 著 税理士 三木信博 著

税理士との対話で導く 会社業務の電子化と電子帳簿保存法

税理士 上西左大信 監修 公認会計士・税理士 田淵正信 編著 公認会計士 藤田立雄 共著 税理士 山野展弘 共著 公認会計士・税理士 大谷泰史 共著 公認会計士・税理士 圓尾紀憲 共著 公認会計士・税理士 久保 亮 共著
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