《速報解説》
東京局、市街地再開発事業により貸付事業が中断された場合の
小規模宅地等特例の判定に関する文書回答事例を公表
~新たに貸付事業の用に供された宅地等の範囲に注意~
税理士 柴田 健次
1 はじめに
平成30年度税制改正により、相続開始直前に賃貸用不動産の購入などをして金融資産を不動産に変換し、小規模宅地等の特例を適用する節税手法を防止するため、貸付事業用宅地等の範囲から、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等を除くこととされた。ただし、特定貸付事業を行っていた被相続人等の貸付事業の用に供されたものは、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供されたものであっても、その範囲から除かれないこととされた(措法69の4③四、措令40の2⑲)。
特定貸付事業とは、貸付事業のうち、準事業(事業と称するに至らない不動産の貸付その他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの)以外のものをいう(措令40の2①⑲)ので、例えば、5棟10室以上の規模で事業として不動産の貸付を行っている場合には、特定貸付事業となり3年以内の問題はないが、マンションの2室のみを所有し賃貸している場合には、事業とはいえず特定貸付事業には該当しないため、3年の判定が必要となる。
なお、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得した宅地等のうち、平成30年3月31日までに貸付事業の用に供された宅地等については、3年以内貸付宅地等に該当しないものとする経過措置が設けられている(附則118④、措通69の4-24の8)が、実務的には、この経過措置の対象案件も少なくなってきたため、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等に該当していないか、注意が必要となる。
これに関連して、市街地再開発事業により中断した貸付事業を再開した場合に「新たに貸付事業の用に供された宅地等」に該当するか否かについての文書回答事例が、令和3年12月24日に東京国税局より公表された。
文書回答事例の概要は、下記のとおりである。
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