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【STEP3】正味売却価額の算定
(1) 再調達原価の採用の適否
(2) 正味売却価額の算定
(1) 再調達原価の採用の適否
製造業における原材料等のように再調達原価の方が把握しやすく、正味売却価額が当該再調達原価に歩調を合わせて動くと想定される場合には、継続して適用することを条件として、再調達原価(最終仕入原価を含む)を用いることができる(基準10)。それ以外の場合は、正味売却価額を用いる。
- 再調達原価の方が把握しやすく、正味売却価額が当該再調達原価に歩調を合わせて動くと想定される場合
→ 再調達原価
- 上記以外
→ 正味売却価額
再調達原価を用いる場合は、【STEP4】を検討する。正味売却価額を用いる場合は、(2)を検討する。
(2) 正味売却価額の算定
正味売却価額とは、期末における売価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除したものをいう。「売価」は売却市場において市場価格が観察できるかどうかで算定方法が異なる。したがって、正味売却価額は市場価格が観察できるかどうかで算定方法が異なる。
売却市場において市場価格が観察できる場合、正味売却価額とは、期末における売価(売却市場の時価)から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除したものをいう(基準5)。
売却市場において市場価格が観察できない場合、正味売却価額とは、期末における合理的に算定された価額(売価)から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除したものをいう(基準8)。
(注) 期末時点の正味売却価額を把握する場合、突発的な売価変動の影響を受けるおそれがある。しかし、正味売却価額は、本来、将来販売時点の見込みであるため、期末時点の正味売却価額が突発的な要因により、異常な水準となっているときには、期末時点の正味売却価額を用いることが不適切であることは明らかである。このような場合には、期末時点の売価ではなく、期末付近の合理的な期間の平均的な売価に基づく正味売却価額によることが適当である(基準43)。
見積追加製造原価とは、販売までに追加の製造原価が発生する場合の当該見積額をいう。
見積販売直接経費とは、棚卸資産の出荷の輸送費、販売手数料、倉庫料等の販売に直接関連して発生する費用をいう。