公開日: 2015/05/28 (掲載号:No.121)
文字サイズ

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第17回】「棚卸資産の評価基準~通常の販売目的で販売する棚卸資産の評価基準~」

筆者: 西田 友洋

(前ページ【STEP4】へ戻る)

【STEP5】収益性が低下している場合の会計処理

※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。

(1) 会計処理

正味売却価額が帳簿価額を下回っている場合、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上する(基準7)。期末日における正味売却価額が帳簿価額よりも下落していないものの、契約や事業遂行上等の制約により、すぐに販売できず、将来の販売時点で収益性の低下がある場合、合理的に算定した価額を売価として、正味売却価額を算定し、評価損を計上する。

具体的な会計処理は以下のとおりである。

【会計処理(税効果は除く)】

前期に計上した評価損については、洗替え法か切放し法のいずれかの方法を棚卸資産の種類ごとに選択適用できる。また、物理的劣化や経済的劣化、若しくは市場の需給変化の要因ごとに選択適用できる。

一度、採用した方法は、原則として、継続して適用しなければならない(基準14)。

(2) 表示

収益性の低下に基づく評価損(前期に計上した評価損を戻し入れる場合には、前期の評価損の戻し額と当期の評価損の相殺後の金額)は売上原価とする。一方、棚卸資産の製造に関連し不可避的に発生すると認められるときには製造原価とする(基準17)。

収益性の低下に基づく評価損が、臨時の事象(例えば、重要な事業部門の廃止、災害損失の発生など)に起因し、かつ、多額であるときには、特別損失に計上する(基準17)。

正常な営業循環過程から外れていない棚卸資産の検討は、ここで終了である。

(次ページ【STEP6】へ進む)

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第17回】

「棚卸資産の評価基準

~通常の販売目的で販売する棚卸資産の評価基準~」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、棚卸資産の評価について解説する。具体的には、「通常の販売目的で販売する棚卸資産の評価基準」について解説する。

「通常の販売目的で販売する棚卸資産の評価基準」とは、以下のように評価することをいう。

通常の販売目的で販売する棚卸資産は、帳簿価額をもって貸借対照表価額とし、期末における正味売却価額が帳簿価額よりも下落している場合(収益性が低下している場合)には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とする。この場合、帳簿価額と正味売却価額との差額は評価損として計上する(企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準(以下、「基準」という)」7)。

なお、「トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価基準」、「販売用不動産等の評価」については、本フロー・チャートでは解説していない。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#