AIで
士業は変わるか?
【第12回】
「税務会計の分野において、
AIに『代替し得るもの』と『代替し得ないもの』」
税理士法人レガシィ
代表社員・資産税法人税務部 統括パートナー
税理士 田川 嘉朗
アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」(1968年)における人工知能・HAL9000型コンピュータの描写に見られるように「AIが人間に代替し得るか?」というテーマに関する議論は古くからあったが、近年になって、インターネットが普及し、コンピュータが扱えるデータ量や演算速度などが飛躍的に向上し、実際に将棋や囲碁などの対局において、コンピュータがトップクラスの棋士に勝ってしまうような事例が増えてきたことなどから、より現実的な問題として、我々が考えなければならない重要な命題へと変貌を遂げてきているように思う。
例えば、症例数・手術数の多寡により、技術的な判断に優劣が生じやすい医療の世界においては、より多くの症例を持っており、さらに高度な解析技術や演算速度を備えたAIの方が、一人の優れた医師、あるいは総合病院の医師の集団などよりも、遙かに的確な判断を下せるといった近未来のイメージには一定の蓋然性があり、AIの登場によって、医療の現場は確実に変わっていくことが容易に予測し得る。
ただし、それはあくまで必要な判断材料が充分に揃った段階以降での話であり、初期段階の現場、すなわち検査項目を的確に判断し、正確な検査を行うといったアナログな業務にまで及ぶわけではない。つまり、医療におけるAIの優位性は、あくまで現場を統率する熟練医師が求められるような高度な判断を要するレベルでのみ意味を有するものであり、その判断材料を収集し、これを分類・整理して医師に提示することを主たる業務とする末端の検査などの現場においては、AIに代替し得るような業務がそれほどあるとは思えない。
* * *
さて、この問題を税務会計業界に置き換えてみたらどうであろうか?
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