公開日: 2015/06/25 (掲載号:No.125)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第18回】「親会社による子会社の吸収合併~個別財務諸表のみ作成している会社の場合~」

筆者: 西田 友洋

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【STEP1】子会社の資産、負債及び純資産の帳簿価額の算定

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共通支配下の取引により企業集団内を移転する資産及び負債は、原則として、移転直前に付されていた適正な帳簿価額により計上する(基準41)。つまり、親会社が子会社を吸収合併により引き継ぐ子会社の資産及び負債は、子会社の帳簿価額を引き継ぐことになる。

したがって、子会社は、合併期日の前日に決算を行い、資産、負債及び純資産の適正な帳簿価額を算定する(企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(以下、「適用指針」という)」205)。

なお、連結財務諸表を作成している場合で、親会社と子会社が吸収合併する場合において、子会社の資産及び負債の帳簿価額を連結上修正しているときは、親会社が作成する個別財務諸表においては、連結財務諸表上の金額である修正後の帳簿価額(のれんを含む)により計上する(基準(注9))。

しかし、親会社が、連結財務諸表を作成しておらず、「連結財務諸表上の帳簿価額」が算定されていない場合であっても、「連結財務諸表上の帳簿価額」を合理的に算定できるときには当該帳簿価額を用いることとし、「連結財務諸表上の帳簿価額」を合理的に算定することが困難と認められるときは、子会社の適正な帳簿価額(個別財務諸表上の帳簿価額)を用いる(適用指針207-2)。

原則:連結財務諸表上の帳簿価額
容認:個別財務諸表上の帳簿価額

親会社が他の会社の株式を取得して子会社化した直後に合併した場合は、通常、連結財務諸表上の帳簿価額を合理的に算定できる場合に該当する(適用指針207-2)。

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第18回】

「親会社による子会社の吸収合併

~個別財務諸表のみ作成している会社の場合~」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、親会社による子会社の吸収合併について解説する。吸収合併とは、会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう(会社法2条27項)。

そして、親会社による子会社の吸収合併は、「共通支配下の取引」に該当する。「共通支配下の取引」とは、結合当事企業(又は事業)のすべてが、企業結合の前後で同一の株主により最終的に支配され、かつ、その支配が一時的ではない場合の企業結合をいう(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準(以下、「基準」という)」16)。

また、本解説では、親会社が子会社を吸収合併し、かつ、個別財務諸表「のみ」作成している場合を前提に解説する。なお、孫会社や中間子会社がある場合については、解説していない。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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