公開日: 2015/09/24 (掲載号:No.137)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第21回】「無対価での100%子会社同士の合併~連結財務諸表作成会社の場合~」

筆者: 西田 友洋

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【STEP1】吸収合併消滅子会社の資産、
負債及び純資産の帳簿価額の算定

子会社同士の合併は、共通支配下の取引に該当するため、吸収合併存続子会社は、吸収合併消滅子会社の適正な帳簿価額を引き継ぐ(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準(以下「基準」という)」41)。そのため、吸収合併消滅子会社は合併期日の前日に決算を行い、個別財務諸表上の適正な帳簿価額を算定する(企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(以下、「適用指針」という)」246)。

また、個別財務諸表上の適正な帳簿価額とは、吸収合併消滅子会社が継続すると仮定した場合の適正な帳簿価額である(適用指針83、391)。したがって、適正な帳簿価額の算定において、固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性などの会計処理を行う際は、吸収合併が行われないと仮定して会計処理を行う。

なお、【第18回】及び【第19回】と異なり、連結財務諸表上の適正な帳簿価額を算定する必要はない

親会社と子会社の合併のように垂直的な合併の場合は、合併前と合併後でグループとして実態は何ら変わらないため、合併前の連結財務諸表(親会社と吸収合併消滅子会社のみで作成した連結財務諸表)と合併後の親会社の個別財務諸表は実態として同一になるように、連結財務諸表上の適正な帳簿価額を用いる。

一方、子会社同士の合併のように水平的な合併の場合は、子会社だけで連結財務諸表を作成するわけではないので、合併前の連結財務諸表(親会社と吸収合併消滅子会社のみで作成した連結財務諸表)と合併後の親会社の個別財務諸表を実態として同一になるように会計処理する必要はない。そのため、個別財務諸表上の適正な帳簿価額を用いればよい。

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第21回】

「無対価での100%子会社同士の合併

~連結財務諸表作成会社の場合~」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、無対価での100%子会社同士の合併(連結財務諸表作成会社で、親会社が設立当初から子会社の株式を100%保有している場合)について解説する。

無対価での100%子会社同士の合併とは、例えば、100%子会社A社が100%子会社B社の株主に対して何の対価も交付せずに100%子会社を吸収合併する場合をいう。

また、子会社同士の合併は、「共通支配下の取引【第18回】参照)に該当する。

なお、孫会社がある場合については、解説していない。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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