各ステップに移動する場合はこちらをクリック
【STEP4】連結財務諸表における会計処理
連結財務諸表における会計処理では、以下の(1)から(3)を検討する。企業グループ全体で見れば、合併前後で何ら変わりはないため、あたかも合併がなかったかのように会計処理することがポイントである。
(1) 開始仕訳及び開始仕訳の振り戻し
連結財務諸表を作成するため、連結財務諸表上での前期までの会計処理を引き継ぐ(開始仕訳を行う)。しかし、子会社同士の吸収合併が行われたため、吸収合併消滅子会社に係る前期までの投資と資本の相殺消去の会計処理はもう引き継ぐ必要はない。そのため、投資と資本の相殺に係る開始仕訳の振り戻しを行う(開始仕訳を消去する)。
(2) 吸収合併存続子会社株式と資本剰余金の相殺
【STEP2】で資本剰余金が計上されるが、子会社同士の吸収合併は連結グループ内の内部取引にすぎないため、【STEP2】で計上した資本剰余金と【STEP3】で振り替えた子会社株式を相殺する(基準44)。
(3) 利益剰余金の期首残高への振り替え
子会社同士の吸収合併を行っても、連結財務諸表上は、吸収合併前と吸収合併後で経済的実態は何ら変わりない。そのため、【STEP2】で吸収合併存続子会社が引き継いだ利益剰余金のうち、取得後利益剰余金については、期首に発生済みのため、期首残高に振り替える。
《設例》
- 親会社P社には、子会社A社と子会社B社があり、それぞれの株式の100%を設立当初より保有している。
- 親会社A社は連結財務諸表を作成している。
- 親会社P社の当期首の貸借対照表は以下のとおりである。
- 子会社A社の当期首の貸借対照表は以下のとおりである。
- 子会社B社の当期首の貸借対照表は以下のとおりである。
- 当期首に子会社A社は子会社B社を無対価で吸収合併する。
〈会計処理〉
1 A社の会計処理
(※1) 子会社B社の帳簿価額
(※2) 子会社B社の資本金
2 P社の会計処理
(※1) B社株式の帳簿価額をA社株式の帳簿価額に加算する。
結果、合併後のA社株式の帳簿価額は8,000である。
3 連結財務諸表における会計処理
(1) 開始仕訳
(2) 開始仕訳の振り戻し
(3) 吸収合併存続会社株式と資本剰余金の相殺
(※1) 1で計上したその他資本剰余金と2で計上したA社株式を相殺
(4) 利益剰余金の期首残高への振り替え
4 連結貸借対照表