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【STEP2】親会社の個別財務諸表上における会計処理
親会社は、【STEP1】で算定した資産、負債及び評価・換算差額等を子会社に移転させる。その移転に対して子会社株式を取得する。
この子会社株式の取得原価は、移転事業に係る資産及び負債の金額から移転事業に係る評価・換算差額等を控除した金額(以下、「移転事業に係る株主資本相当額」という)となる。また、移転した事業に対する投資は、新設分割後も実質的に継続しているため、移転損益は認識しない(適用指針260、226)。
また、移転事業に係る繰延税金資産及び繰延税金負債は、子会社株式の取得原価に含めずに、子会社株式に係る一時差異に対する繰延税金資産及び繰延税金負債として計上する(適用指針108(2))。したがって、親会社で計上されていた移転事業に係る繰延税金資産及び繰延税金負債は、子会社に移転されるが、親会社の個別財務諸表には、子会社株式に係る一時差異に対する繰延税金資産及び繰延税金負債として計上されることになる(下記、【ポイント解説】参照)。
なお、移転事業に係る株主資本相当額がマイナスの場合(移転対象となる財産がマイナスの場合)には、「組織再編により生じた株式の特別勘定」等、適切な科目をもって負債に計上する。また、新設分割に要した支出額は、発生時の事業年度の費用として会計処理する(適用指針260、226なお書)。
【ポイント解説(適用指針108(2))】
子会社(分離先会社)の株式に係る一時差異に対する繰延税金資産については、従来の事業に係る投資が継続しているものとみて、事業分離日において移転する繰延税金資産を置き換えるものであるため、税効果会計における会社区分「1」、「2」、「3」、「4ただし書」の会社については、その回収可能性があると判断できる。子会社株式の売却予定がなくても、「2」、「3」、「4ただし書」の会社でも、回収可能性があると判断できる。
ただし、以下の2点について、留意が必要である。
① 子会社株式に係る一時差異に対する繰延税金資産は、新設分割後に新設分割日に移転する繰延税金資産の額以上に計上されることはない。
② 新設分割後、親会社(分離元会社)が会社区分「4」(ただし書の場合を除く)の会社となった場合には、翌期における解消額に係る繰延税金資産の額を除き、当該繰延税金資産の回収可能性はないものと判断する。会社区分「5」の会社となった場合には、当該繰延税金資産の回収可能性はないものと判断することに留意する必要がある。