公開日: 2015/10/29 (掲載号:No.142)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第22回】「単独の新設分割による子会社設立~連結財務諸表作成会社の場合~」

筆者: 西田 友洋

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【STEP4】連結財務諸表における会計処理

単独新設分割は、企業グループ内で行った取引であるため、親会社が取得した子会社株式と子会社で増加した資本金及び資本剰余金は内部取引として消去(投資と資本を相殺)する(適用指針262、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準(以下「基準」という)」44)。

また、子会社株式に係る一時差異に対する繰延税金資産及び繰延税金負債も上記の投資と資本の相殺において投資の金額に含めて消去する(適用指針の設例37、402)。

《設例》

  • 親会社A社は、当期首に単独の新設分割により子会社B社を設立する。
  • 新設分割にあたりα事業を移転する。移転事業に係る資本金は、新設分割計画により、株主資本相当額の半分と決定した。
  • 親会社A社は連結財務諸表を作成している。
  • 親会社A社の分割期日前日の貸借対照表は以下のとおりである。

繰延税金資産は、α事業に係るものである。

繰延税金負債は、その他有価証券評価差額金に係るものである(法定実効税率は32%)。

  • 親会社A社のα事業の分割期日前日の貸借対照表は以下のとおりである。

〈会計処理〉

1 親会社A社の会計処理

(※1) 親会社A社のα事業の帳簿価額

(※2) 移転事業に係る繰延税金資産

(※3) B社株式に係る繰延税金資産

(※4) 差額

2 子会社B社の会計処理

(※1) 親会社A社のα事業の帳簿価額

(※2) 親会社A社のα事業の株主資本相当額×(1/2)

3 連結財務諸表における会計処理

(※1) 親会社A社の個別財務諸表に計上されているB社株式に係る繰延税金資産

4 連結貸借対照表

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第22回】

「単独の新設分割による子会社設立

~連結財務諸表作成会社の場合~」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、単独で新設分割により子会社を設立する場合を解説する。

新設分割とは、一又は二以上の株式会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう(会社法2(30))。

何の資産も事業もない子会社を設立するのではなく、新設分割により既存の資産や事業などを新しく設立する子会社に移すことで、新設子会社はすぐに事業をスタートすることができるというメリットがある。

単独の新設分割による子会社の設立は、「共通支配下の取引【第18回】参照)に該当する。

なお、本解説では、親会社(連結財務諸表作成会社)が単独で新設分割し、子会社を設立するにあたって、「事業」を移転させることを前提に解説する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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