〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A
【第45回】
「会社の代表者が親族外である場合の特定同族会社事業用宅地等の特例の適用の可否」
税理士 柴田 健次
[Q]
被相続人である甲(令和4年7月13日相続発生)は金属製品製造業であるA株式会社の代表者で100%の株式を所有していました。甲は、令和3年10月に親族外である役員乙に代表権を移譲し、退職金を受け取り、その後は、非常勤取締役の会長として勤務していました。株式については、生前に承継せずに100%保有したまま相続が発生しています。また、甲はA社に甲の所有する土地を賃貸し、A社は自社で建物を建築し、本社及び工場で使用していました。甲とA社は、無償返還に関する届出書を賃貸借で所轄税務署に提出しており、地代は固定資産税及び都市計画税の合計の約3倍程度で設定がされています。
甲の相続人は、長男1人のみですが、遺言書を下記のとおり遺していました。
- A社株式のうち3分の2は乙に遺贈し、3分の1は長男に相続させる。
- A社に賃貸している土地は長男に相続させる。
- その他の財産全ては長男に相続させる。
甲の相続に伴い、長男はA社に賃貸している土地及び家屋を相続し、引き続き、相続税の申告期限までA社に賃貸しています。
長男は、将来的には乙の後継者候補となりますが、相続開始の直前においては、A社の関連会社であるB社に勤務をしていました。長男が相続税の申告期限までにA社の役員になった場合には、A社に賃貸していた土地について、小規模宅地等に係る特定同族会社事業用宅地等の特例の適用を受けることは可能でしょうか。
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