M&Aに必要な
デューデリジェンスの基本と実務
-共通編-
【第1回】
「デューデリジェンスの種類と必要な場面」
公認会計士・公認不正検査士
松澤 公貴
-はじめに-
悲しいことに右肩上がりでの成長を持続できる日本企業は少ない。そのため、日本企業の多くは「企業の低成長をM&Aで補う」「市場開拓のために時間を買う」などを理由にM&Aを実行している。
M&Aは成功すれば、業界の勢力図を一気に塗り替えるほどの力があるが、残念ながら多くの企業は期待通りの成果を上げられずに業績悪化につながることになる。M&Aでの損失は、M&Aそのものの失敗のみならず、競合他社への敗北をも意味することもあるであろう。
M&Aの失敗要因には、「事業戦略の欠如」や「事前調査不足」、「統合の失敗」などが挙げられる。本連載では、その中でも、主にM&A(企業買収・売却)の取引実行前に、対象会社や対象事業に対して実施する「事前調査不足」による失敗を回避すべく、ポイントをついて複数回にわたり解説を行いたい。
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