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【STEP1】賃貸等不動産の範囲の決定
具体的には、賃貸等不動産の範囲は以下の順に決定する。
(1) 棚卸資産に該当するか
(2) 貸借対照表の投資不動産に該当するか
(3) 将来の使用が見込まれていない遊休不動産に該当するか
(4) 不動産は賃貸を目的として所有しているか
① 不動産全部を賃貸しているか
② 不動産の一部を賃貸している場合で、その賃貸部分の割合は低いか
なお、連結財務諸表において賃貸等不動産の注記を行う場合、賃貸等不動産に該当するか否かは、連結の観点から行う。例えば、連結会社間で賃貸されている不動産は、連結貸借対照表上、賃貸等不動産に該当しない(企業会計基準適用指針第23号「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針(以下、「適用指針」という)」3)。
(1) 棚卸資産に該当するか
不動産のうち、流動資産に分類されている棚卸資産(販売用不動産、開発事業等支出金等)は、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」で評価基準が定められているため、賃貸等不動産には含めない(基準19)。
(2) 貸借対照表の投資不動産に該当するか
貸借対照表において投資不動産(投資の目的で所有する土地、建物その他の不動産)として区分されている場合、賃貸等不動産に該当する(基準5(1))。ここには、現在のみならず、将来において投資不動産として使用される予定で開発中の不動産や継続して投資不動産として使用される予定で再開発中の不動産も含まれる(基準6)。
(3) 将来の使用が見込まれていない遊休不動産に該当するか
将来の使用が見込まれていない遊休不動産は、売却が予定されている不動産と同様に、処分によるキャッシュ・フローしか期待されないため、時価が企業にとっての価値を示す(基準23)。そのため、将来の使用が見込まれていない遊休不動産も賃貸等不動産に該当する(基準5(2))。
(4) 不動産は賃貸を目的として所有しているか
上記、(2)及び(3)以外の不動産で、賃貸を目的としている不動産は賃貸等不動産に該当する(基準5(3))。ここには、現在のみならず、将来において賃貸不動産として使用される予定で開発中の不動産や継続して賃貸不動産として使用される予定で再開発中の不動産も含まれる(基準6)。さらに、賃貸を目的として保有されているにもかかわらず、一時的に借手が存在していない不動産も含まれる(基準6)。
① 不動産全部を賃貸しているか
不動産の全部を賃貸している場合、当然に不動産の全部が賃貸等不動産に該当する(基準5(3))。
② 不動産の一部を賃貸している場合で、その賃貸部分の割合は低いか
不動産の一部を賃貸している場合、賃貸している部分のみ賃貸等不動産に含める。ただし、賃貸部分の割合が低い場合、賃貸等不動産に含めないことができる(基準7)。賃貸部分の割合が低いか否かにより賃貸等不動産の範囲が異なるため、その割合の基準を各社で定める必要がある。
また、賃貸部分の割合が低くなく、賃貸部分の時価又は損益を、実務上把握することが困難な場合、賃貸している部分とそれ以外の部分を区分せずに、当該不動産全体を注記の対象とすることができる。この場合、その旨を注記し、かつ、【STEP5】の注記を他の賃貸等不動産とは別に注記する(適用指針17)。
具体的な勘定科目としては、以下のものが賃貸等不動産に該当する(又は、該当する可能性がある)。