公開日: 2014/10/30 (掲載号:No.92)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第10回】「賃貸等不動産の注記」

筆者: 西田 友洋

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【STEP4】個々の賃貸等不動産の時価の算定

時価を把握することができる賃貸等不動産について、重要性に応じて用いる時価を変えることができる。重要性が乏しいか否かの水準は、基準や適用指針で定められていないため、各社で重要性が乏しい水準を決定する必要がある。

(1) 個々の賃貸等不動産の重要性が乏しい場合

(2) 個々の賃貸等不動産の重要性が乏しくない場合

① 重要な変動が生じている場合

② 変動が軽微な場合

③ 上記①、②以外の場合

※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。

(1) 個々の賃貸等不動産の重要性が乏しい場合

重要性が乏しい賃貸等不動産については、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標に基づく価額(例えば、公示価格、都道府県基準値価格、路線価による相続税評価額÷80%、固定資産税評価額÷70%)等を時価とみなすことができる。建物等の償却資産については、適正な帳簿価額をもって時価とみなすことができる(適用指針33)。

(2) 個々の賃貸等不動産の重要性が乏しくない場合

重要性が乏しくない賃貸等不動産については、第三者からの取得時(連結子会社の保有する賃貸等不動産については、当該子会社を支配した時を含む)又は直近の原則的な時価算定(下記参照)を行った時から、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標の変動の度合い(重要な変動が生じている場合、軽微な場合、それ()以外の場合)により、用いることができる時価が異なる(適用指針12、32)。

なお、ここでの判断は、あくまでも適切に市場価格を反映している固定資産税評価額等の指標をもとに行う必要がある。適切に市場価格を反映していない指標をもとに判断してはならない。

① 重要な変動が生じている場合
第三者からの取得時(連結子会社の保有する賃貸等不動産については、当該子会社を支配した時を含む)又は直近の原則的な時価算定を行った時から、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標に重要な変動が生じている場合、原則的な方法で時価算定を行う(適用指針12、32)。

ここで、原則的な方法で算定した時価とは以下のものをいう(適用指針11)。

(ⅰ) 観察可能な市場価格に基づく価額

(ⅱ) 市場価格が観察できない場合、「不動産鑑定評価基準」による方法又は類似の方法に基づいて算定された価額

(ⅲ) 契約により取り決められた一定の売却予定価額がある場合、当該売却予定価額

② 変動が軽微な場合
第三者からの取得時(連結子会社の保有する賃貸等不動産については、当該子会社を支配した時を含む)又は直近の原則的な時価算定を行った時から、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標の変動が軽微な場合、取得時の価額又は直近の原則的な時価算定による価額を時価とみなすことができる(適用指針12)。

③ 上記①、②以外の場合
第三者からの取得時(連結子会社の保有する賃貸等不動産については、当該子会社を支配した時を含む)又は直近の原則的な時価算定を行った時から、一定の評価額や適切に市場価格を反映していると考えられる指標に重要な変動ではなく、かつ、軽微な変動でもない場合、当該評価額や指標を用いて調整した金額を時価とみなすことができる。

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第10回】

「賃貸等不動産の注記」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、賃貸等不動産の注記について解説する。中でも賃貸等不動産の時価の算定を中心に解説する。

賃貸等不動産の注記の検討は、以下の5つのSTEPに分けることができる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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