公開日: 2018/08/30 (掲載号:No.283)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第42回】「資本関係のない会社間での事業譲渡」

筆者: 西田 友洋

【STEP1】分離元企業における個別財務諸表上の会計処理

事業を譲渡する側である分離元企業の個別財務諸表における会計処理は、以下のとおりである。

子会社や関連会社以外を分離先企業として、現金等の財産のみを受取対価として行われる事業譲渡は、移転事業に対する投資が精算されたものとして会計処理する。具体的には、以下のとおりである。

事業譲渡日の前日に決算又は仮決算を行い、事業譲渡に係る資産及び負債の適正な帳簿価額を確定させる(企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準(以下、「事業分離基準」という)10、77)。そして、原則として対価である現金等の財産を時価により計上し、この時価と移転事業に係る株主資本相当額の差額を移転損益として計上する(事業分離基準16、企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(以下「指針」という)96(1))。

【留意点】

現金等の財産のみを対価として事業譲渡を行った場合であっても、以下のように分離元企業の重要な継続的関与によって、分離元企業が移転した事業に係る成果の変動性を従来と同様に負っている場合には、投資が精算されたとみなされず、移転損益を計上できない(指針96(1))。

➤移転した事業に対し買戻しの条件が付されている場合

➤移転した事業から生じる財貨又はサービスの長期購入契約により当該事業のほとんどすべてのコスト(当該事業の取得価額相当額を含む)を負担する場合

重要な継続的関与があるため、受取対価に現金を含むが移転損益を認識しない場合には、移転した事業を裏付けとする金融取引として会計処理する(事業分離基準76)。

  

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第42回】

「資本関係のない会社間での事業譲渡」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、資本関係のない会社間での事業譲渡を解説する。分離先企業(買手)にとっては、事業譲渡の範囲を契約で定めることで、帳簿外にある債務(簿外債務、偶発債務等)を引き継ぐことを防止できる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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