公開日: 2018/08/30 (掲載号:No.283)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第42回】「資本関係のない会社間での事業譲渡」

筆者: 西田 友洋

【STEP4】事業譲渡の注記

事業分離年度において、共通支配下の取引や共同支配企業の形成に該当しない重要な事業分離を行った場合、分離元企業は以下の事項を注記する。

なお、個々の取引については重要性が乏しいが、事業分離年度における取引全体について重要性がある場合には、以下の(1)及び(2)について、当該取引全体で注記する。

また、連結財務諸表における注記と個別財務諸表における注記が同じとなる場合には、個別財務諸表においては、連結財務諸表に当該注記がある旨の記載をもって代えることができる(事業分離基準28)。

(1) 事業分離の概要
分離先企業の名称、分離した事業の内容、事業分離を行った主な理由、事業分離日及び法的形式を含む取引の概要

(2) 実施した会計処理の概要(事業分離基準18(2)なお書き及び24(2)なお書きにより認識された損益の金額を含む)

(3) セグメント情報の開示において、当該分離した事業が含まれていた区分の名称

(4) 当期の損益計算書に計上されている分離した事業に係る損益の概算額

(5) 分離先企業の株式を子会社株式又は関連会社株式として保有すること以外で分離元企業の継続的関与があるにもかかわらず、移転損益を認識した場合、当該継続的関与の主な概要。ただし、軽微なものについては注記を省略することができる。

分離元企業は、貸借対照表日後に完了した事業分離や貸借対照表日後に主要条件が合意された事業分離が、重要な後発事象に該当する場合には、上記に準じて注記を行う(ただし、貸借対照表日後に主要条件が合意された事業分離にあっては、上記(1)及び(3)に限る)。

また、当事業年度中に事業分離の主要条件が合意されたが、貸借対照表日までに事業分離が完了していない場合(ただし、重要な後発事象に該当する場合を除く)についても、上記(1)及び(3)に準じて注記を行う(事業分離基準30)。

なお、計算書類では、上記のような注記は必ずしも求められていない。

*  *  *

以上、4のステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。

【参考】

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第42回】

「資本関係のない会社間での事業譲渡」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、資本関係のない会社間での事業譲渡を解説する。分離先企業(買手)にとっては、事業譲渡の範囲を契約で定めることで、帳簿外にある債務(簿外債務、偶発債務等)を引き継ぐことを防止できる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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