公開日: 2015/04/30 (掲載号:No.117)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第16回】「セグメント情報等の開示」

筆者: 西田 友洋

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【STEP2】セグメント情報の開示

【STEP1】で報告セグメントを決定したら、セグメント情報として、(1)報告セグメントの概要、(2)報告セグメントの利益(又は損失)、資産、負債及びその他の重要な項目の額並びにその測定方法に関する事項、(3)開示項目とこれに対応する財務諸表上額との間の差異調整に関する事項を開示する。

具体的には、以下を開示する(基準17~26、78、企業会計基準適用指針第20号「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針(以下、「適用指針」という」10・12)。

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セグメント情報の開示項目 備考 (1) 報告セグメントの概要 報告セグメントの決定方法 事業セグメントを識別するために用いた方法(例えば、製品・サービス別、地域別、規制環境別、又はこれらの組合せ等、企業の事業セグメントの基礎となる要素)及び複数の事業セグメントを集約した場合にはその旨等について記載する。 各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類 - (2) 報告セグメントの利益(又は損失)、資産、負債及びその他の重要な項目の額並びにその測定方法に関する事項 ① 開示する利益は、営業利益(又は損失)や経常利益(又は損失)に限定されているわけではない。 ② 企業が開示する報告セグメントの利益(又は損失)の額の算定に以下の項目が含まれている場合、各報告セグメントのこれらの金額を開示する。また、報告セグメントの利益(又は損失)の額の算定に含まれていない場合であっても、以下の項目の事業セグメント別の情報が最高経営意思決定機関に対して定期的に提供され、使用されているときには、各報告セグメントのこれらの金額を開示する。 (ⅰ) 外部顧客への売上高 (ⅱ) 事業セグメント間の内部売上高又は振替高 (ⅲ) 減価償却費(のれんを除く無形固定資産に係る償却費を含む) (ⅳ) のれんの償却額及び負ののれんの償却額 (ⅴ) 受取利息及び支払利息 (ⅵ) 持分法投資利益(又は損失) (ⅶ) 特別利益及び特別損失(主な内訳をあわせて開示する) (ⅷ) 税金費用(法人税等及び法人税等調整額) (ⅸ) (ⅰ)から(ⅷ)に含まれていない重要な非資金損益項目 ③ 開示する報告セグメントの資産の額の算定に以下の項目が含まれている場合、各報告セグメントのこれらの金額を開示する。また、報告セグメントの資産の額の算定に含まれていない場合であっても、以下の項目の事業セグメント別の情報が最高経営意思決定機関に対して定期的に提供され、使用されているときには、各報告セグメントのこれらの金額を開示する。 (ⅰ) 持分法適用会社への投資額(当年度末残高) (ⅱ) 有形固定資産及び無形固定資産の増加額(当年度の投資額) ④ 開示する報告セグメントの資産に長期前払費用又は繰延資産が含まれている場合には、セグメント情報に開示する有形固定資産及び無形固定資産の増加額の範囲に、長期前払費用又は繰延資産の増加額を含めることができる。また、上記②(ⅲ)の減価償却費に、長期前払費用又は繰延資産の償却額を含めることができる。なお、これらの場合には、その旨を記載する。 ⑤ 負債に関する情報が、最高経営意思決定機関に対して定期的に提供され、使用されている場合、企業は各報告セグメントの負債の額を開示する。 ⑥ 開示する項目の測定方法について、少なくとも以下の事項を開示する。 (ⅰ) 報告セグメント間の取引がある場合、その会計処理の基礎となる事項(例えば、報告セグメント間の取引価格や振替価格の決定方法などについて明らかにする必要がある) (ⅱ) 報告セグメントの利益(又は損失)の合計額と、損益計算書の利益(又は損失)計上額との間に差異があり、差異調整に関する事項の開示(下記(3)参照)からはその内容が明らかでない場合、その内容(例えば、会計処理の方法の違いによる差異がある場合や、事業セグメントに配分していない額がある場合には、その主な内容を明らかにする必要がある(下記(ⅲ)及び(ⅳ)においても同様。)。 (ⅲ) 報告セグメントの資産の合計額と連結貸借対照表又は個別貸借対照表(以下「貸借対照表」という)の資産計上額との間に差異があり、差異調整に関する事項の開示(下記(3)③参照)からその内容が明らかでない場合、その内容。なお、企業が事業セグメントに資産を配分していない場合には、その旨を開示する。 (ⅳ) 報告セグメントの負債の合計額と貸借対照表の負債計上額との間に差異があり、差異調整に関する事項の開示(下記(3)④参照)からその内容が明らかでない場合、その内容 (ⅴ) 事業セグメントの利益(又は損失)の測定方法を前年度に採用した方法から変更した場合には、その旨、変更の理由及び当該変更がセグメント情報に与えている影響 (ⅵ) 事業セグメントに対する特定の資産又は負債の配分基準と関連する収益又は費用の配分基準が異なる場合には、その内容(例えば、ある事業セグメントに特定の償却資産を配分していないにもかかわらず、その減価償却費を当該事業セグメントの費用に配分する場合がこれに該当する。) (3) 上記(2)で開示する項目の合計額とこれに対応する財務諸表計上額との間の差異調整に関する事項 以下の項目について、その差異調整に関する事項を開示する。 ① 報告セグメントの売上高の合計額と損益計算書の売上高計上額 ② 報告セグメントの利益(又は損失)の合計額と損益計算書の利益(又は損失)計上額 ③ 報告セグメントの資産の合計額と貸借対照表の資産計上額 ④ 報告セグメントの負債の合計額と貸借対照表の負債計上額 ⑤ その他の開示される各項目について、報告セグメントの合計額とその対応する科目の財務諸表計上額 重要な調整事項がある場合、当該事項を個別に記載する。例えば、報告セグメントの利益(又は損失)を算定するにあたって採用した会計処理の方法が財務諸表の作成上採用した方法と異なっている場合、その重要な差異は、すべて個別に記載する。 全社収益、全社費用、全社資産又は全社負債(事業セグメント等に配分しないこととした特定の収益、費用、資産又は負債。以下、「全社費用等」という)がある場合、差異調整に関する事項として当該全社費用等を開示する。

上記の他にも、「その他」に含まれる主要な事業の名称等も開示する(基準15)。

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第16回】

「セグメント情報等の開示」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、セグメント情報等の開示について解説する。

セグメント情報等とは、以下の4つの情報をいう(企業会計基準第17号「セグメント情報等の開示に関する会計基準(以下、「基準」という)」1)。

(1) セグメント情報【STEP1】【STEP2】

(2) セグメント情報の関連情報【STEP3】

(3) 固定資産の減損損失に関する報告セグメント別情報【STEP4】

(4) のれんに関する報告セグメント別情報【STEP5】

上記(1)のセグメント情報は、マネジメント・アプローチで開示する(基準50)。マネジメント・アプローチとは、経営上の意思決定や業績を評価するために、経営者が企業を事業の構成単位に分別した方法を基礎としてセグメント情報を開示する方法である(基準45)。

なお、セグメント情報等の開示は、財務諸表利用者が、企業の過去の業績を理解し、将来のキャッシュ・フローの予測を適切に評価できるように、企業が行う様々な事業活動の内容及びこれを行う経営環境に関して適切な情報を提供するものでなければならない(セグメント情報を開示する基本原則。基準4)。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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