公開日: 2018/07/05 (掲載号:No.275)
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AIで士業は変わるか? 【追補】「士業は変わり続ける」-連載を終えて-

筆者: Profession Journal 編集部

カテゴリ:


※この記事は会員以外の方もご覧いただけます。

AI

士業変わるか?

【追補】

「士業は変わり続ける」

-連載を終えて-

 

Profession Journal編集部

 

税務・会計Web情報誌プロフェッションジャーナルの創刊5周年記念特集として本年2月から連載が開始され、全20回、計21名の方々にご寄稿いただいた『AIで士業は変わるか?』は、先週公開号をもって一旦その役目を終え、最終回の掲載を迎えた。

本連載ではAIを中心としたIT技術の急速な進化によって、会計・税務の世界がどのように変化するのか、あるいはすでに変化しているのか、また、公認会計士、税理士という職業自体が代替され消滅してしまうのか、各回の筆者による見解や本職に対する想いを披露していただいた。

諸般の事情により掲載が適わなかった方もおられたが、結果として上記のとおり21名の方々による原稿を掲載させていただいたなかで、編集部として意識したのは、一定の幅を設けつつも様々な立場の方々にご登場いただきたいというものだった(詳しくは後述)。

もちろん公認会計士又は税理士の有資格者が多いものの、その所属する組織(又は個人)や経歴・立場、職務内容、業務方針(人生設計)等がバラエティに富んだ筆者陣となっているのは、実際に同じ実務の現場で活躍されている会員読者の方々にはご理解いただけるものと思う。本当にこれら職業の働き方というのは幅広いものなのだなと、あらためて感じた次第である。

*  *  *

そもそも本連載を企画するに至ったきっかけは、昨年秋頃から、そして現在においてもなお、多くの経済誌・ビジネス誌、新聞等において、AIによって士業、とりわけ公認会計士、税理士という職業が代替され成立し得なくなる未来が到来することを謳った特集が組まれていたものに対し感じた違和感によるものであった。

職業柄、執筆者を中心とした多くの公認会計士、税理士の方々にお会いする機会に恵まれているが、最新の法制度や時流をキャッチアップし、クライアントのために考え悩む先生方の姿を見るに、ロボットとはいえないまでも人間以外の何らかの機器がすべてを代替し解決するような状況は、想像しがたい。

一方で、AIを含むIT技術の進化は目覚しいどころの速さではなく、本誌創刊の2013年当時と比べてすら、社会経済を一変させるインパクトをもたらしており、すでに実務への導入が始まっているのも事実であり、我々の想像を超えた技術開発をめぐる現況も受け止めなくてはならない。

このような、いわば過渡期の状況を見るに、職業がなくなる、なくならない、といった極端に単純化された答えは、まさに現在、第一線で活躍しておられる実務家の方々にとっては意味を成さないのではないかと考えるようになった。

そして様々な立場の方にご意見を伺えば、その共通するところが、この時代に士業が向かうべき道として浮かび上がってくるのではないかと考えた。

*  *  *

本連載では、大手の監査法人、税理士法人において会計監査、税務支援、さらには実際にAIをこれら業務に活用する最先端の取組みを行っている公認会計士、税理士の方々から、専門性の高いサービスを提供するためあえて個人もしくは小規模での事務所等にて活躍されている方々、さらにはこれら業界とも関係の深い研究者、会計ソフトベンダー、弁護士、不動産鑑定士、そして本サイトの運営会社プロフェッションネットワークの関連会社である資格の学校TACの代表取締役社長に至るまで、冒頭に述べたとおり、それぞれの考えを率直に書いていただいた。

そこでは、AIに関する最前線の取組みから、会計・税務の支援業務を棚卸ししAIに代替しうるものと代替しえないものを詳細に検証したもの、会計士・税理士の業界全体を見据えて問題提起を行うものまで、会員読者の方々へ今後の仕事への取組みのアドバイスとなるような玉稿が集まった。

そして、これらの中で共通していたのは、公認会計士、税理士という職業の本来の姿を捉えなおすこと、そして、その本来の姿さえ見失わなければ、「技術革新が職業を奪う」といったような情報に惑わされることはない、というものであったと考える。

すべてが手書きであった時代から、自動計算、デジタル化の時代まで、公認会計士、税理士の方々は時代ごとの最新の技術を取り込み、サービスを進化させつつも、その本来の姿を変えることはなかった。

だとすれば、AIという新たな存在に対しても、それらを吸収し進化を続けていくと考えるのが、現実的な回答ということになるのではないだろうか(そういう意味を込めて、本稿のタイトルを「士業は変わり続ける」とさせていただいた)。

*  *  *

ある税理士の方とお会いした際、本連載について紹介したところ、次のような言葉をいただいた。

現役で実務を行っている人や、これから資格の勉強を始めようとする人たちが働く時代までは、ここに書かれているとおり、士業は変わらないのかもしれない。
しかし、もっと若い、今小学生であったりこれから生まれてくる子どもたちからしてみれば、本当にこれらの職業がなくなる時代が来るのではないか。

この方がおっしゃるように、今後、再びこのような問題が提起されるとき、それはAIの次に到来する“何か”なのかもしれない。冒頭に述べたとおり、本連載は一旦その役目を終えたものの、本誌ではこのテーマについて、今後も引き続き検証を行っていくこととしたい。

最後に、一見すると突拍子もない本テーマに関する原稿依頼にもかかわらず、真摯に受け止めていただき、ご自身の見解を余すところなくご紹介いただいた本連載の筆者の方々には、この場を借りて心よりお礼を申し上げたい。

(了)

※この記事は会員以外の方もご覧いただけます。

AI

士業変わるか?

【追補】

「士業は変わり続ける」

-連載を終えて-

 

Profession Journal編集部

 

税務・会計Web情報誌プロフェッションジャーナルの創刊5周年記念特集として本年2月から連載が開始され、全20回、計21名の方々にご寄稿いただいた『AIで士業は変わるか?』は、先週公開号をもって一旦その役目を終え、最終回の掲載を迎えた。

本連載ではAIを中心としたIT技術の急速な進化によって、会計・税務の世界がどのように変化するのか、あるいはすでに変化しているのか、また、公認会計士、税理士という職業自体が代替され消滅してしまうのか、各回の筆者による見解や本職に対する想いを披露していただいた。

諸般の事情により掲載が適わなかった方もおられたが、結果として上記のとおり21名の方々による原稿を掲載させていただいたなかで、編集部として意識したのは、一定の幅を設けつつも様々な立場の方々にご登場いただきたいというものだった(詳しくは後述)。

もちろん公認会計士又は税理士の有資格者が多いものの、その所属する組織(又は個人)や経歴・立場、職務内容、業務方針(人生設計)等がバラエティに富んだ筆者陣となっているのは、実際に同じ実務の現場で活躍されている会員読者の方々にはご理解いただけるものと思う。本当にこれら職業の働き方というのは幅広いものなのだなと、あらためて感じた次第である。

*  *  *

そもそも本連載を企画するに至ったきっかけは、昨年秋頃から、そして現在においてもなお、多くの経済誌・ビジネス誌、新聞等において、AIによって士業、とりわけ公認会計士、税理士という職業が代替され成立し得なくなる未来が到来することを謳った特集が組まれていたものに対し感じた違和感によるものであった。

職業柄、執筆者を中心とした多くの公認会計士、税理士の方々にお会いする機会に恵まれているが、最新の法制度や時流をキャッチアップし、クライアントのために考え悩む先生方の姿を見るに、ロボットとはいえないまでも人間以外の何らかの機器がすべてを代替し解決するような状況は、想像しがたい。

一方で、AIを含むIT技術の進化は目覚しいどころの速さではなく、本誌創刊の2013年当時と比べてすら、社会経済を一変させるインパクトをもたらしており、すでに実務への導入が始まっているのも事実であり、我々の想像を超えた技術開発をめぐる現況も受け止めなくてはならない。

このような、いわば過渡期の状況を見るに、職業がなくなる、なくならない、といった極端に単純化された答えは、まさに現在、第一線で活躍しておられる実務家の方々にとっては意味を成さないのではないかと考えるようになった。

そして様々な立場の方にご意見を伺えば、その共通するところが、この時代に士業が向かうべき道として浮かび上がってくるのではないかと考えた。

*  *  *

本連載では、大手の監査法人、税理士法人において会計監査、税務支援、さらには実際にAIをこれら業務に活用する最先端の取組みを行っている公認会計士、税理士の方々から、専門性の高いサービスを提供するためあえて個人もしくは小規模での事務所等にて活躍されている方々、さらにはこれら業界とも関係の深い研究者、会計ソフトベンダー、弁護士、不動産鑑定士、そして本サイトの運営会社プロフェッションネットワークの関連会社である資格の学校TACの代表取締役社長に至るまで、冒頭に述べたとおり、それぞれの考えを率直に書いていただいた。

そこでは、AIに関する最前線の取組みから、会計・税務の支援業務を棚卸ししAIに代替しうるものと代替しえないものを詳細に検証したもの、会計士・税理士の業界全体を見据えて問題提起を行うものまで、会員読者の方々へ今後の仕事への取組みのアドバイスとなるような玉稿が集まった。

そして、これらの中で共通していたのは、公認会計士、税理士という職業の本来の姿を捉えなおすこと、そして、その本来の姿さえ見失わなければ、「技術革新が職業を奪う」といったような情報に惑わされることはない、というものであったと考える。

すべてが手書きであった時代から、自動計算、デジタル化の時代まで、公認会計士、税理士の方々は時代ごとの最新の技術を取り込み、サービスを進化させつつも、その本来の姿を変えることはなかった。

だとすれば、AIという新たな存在に対しても、それらを吸収し進化を続けていくと考えるのが、現実的な回答ということになるのではないだろうか(そういう意味を込めて、本稿のタイトルを「士業は変わり続ける」とさせていただいた)。

*  *  *

ある税理士の方とお会いした際、本連載について紹介したところ、次のような言葉をいただいた。

現役で実務を行っている人や、これから資格の勉強を始めようとする人たちが働く時代までは、ここに書かれているとおり、士業は変わらないのかもしれない。
しかし、もっと若い、今小学生であったりこれから生まれてくる子どもたちからしてみれば、本当にこれらの職業がなくなる時代が来るのではないか。

この方がおっしゃるように、今後、再びこのような問題が提起されるとき、それはAIの次に到来する“何か”なのかもしれない。冒頭に述べたとおり、本連載は一旦その役目を終えたものの、本誌ではこのテーマについて、今後も引き続き検証を行っていくこととしたい。

最後に、一見すると突拍子もない本テーマに関する原稿依頼にもかかわらず、真摯に受け止めていただき、ご自身の見解を余すところなくご紹介いただいた本連載の筆者の方々には、この場を借りて心よりお礼を申し上げたい。

(了)

連載目次

AIで士業は変わるか?
(全20回)

  • 【第7回】 デジタルで実現する未来の会計監査
    加藤信彦(新日本有限責任監査法人 アシュアランス・イノベーション・ラボ 統括責任者、公認会計士)
    小形康博(新日本有限責任監査法人 アシュアランス・イノベーション・ラボ、公認会計士)

筆者紹介

Profession Journal 編集部

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