空き家をめぐる法律問題
【事例11】
「成年被後見人が所有する空き家の処分問題」
弁護士 羽柴 研吾
- 事 例 -
母は、父の死後、しばらく自宅で一人暮らしをしていましたが、認知症の程度がひどくなったため自宅を出て、老人ホームに入居することを検討しています。私は、母の成年後見人に選任され、日常の世話も含めて対応していますが、母の預貯金も目減りして、老人ホームに要する費用をどのように確保するか考えています。
そこで、次のような方法を考えていますが、法律上どのような問題がありますか。
① 空き家となる母名義の土地と建物を売却する
② 空き家となる母名義の土地と建物を担保に融資を受ける
また、母の相続発生後、相続した空き家を処分する場合の税務上の留意点はありますか。
1 はじめに
総務省が平成25年に実施した住宅・土地統計調査によると、全国の総住宅数6,063万戸のうち、空き家は820万戸となっている。このうち、賃貸・売却用の住宅や別荘等の二次的住宅を除いた空き家の数は318万戸となっており、増加傾向にある。
その具体例としては、認知症の高齢者が自宅を出て、老人ホーム等に入居して生活するような場合が想定される。このような認知症の高齢者には、その親族が成年後見人に選任されている場合があり、成年後見人は成年被後見人の財産管理と身上監護を行う必要がある。
そこで、今回は、成年後見人が成年被後見人のために行う空き家の処分方法等について検討することとしたい。
2 成年後見人の権限
成年後見人は、成年被後見人が事理弁識能力を欠く常況にあるため、財産行為に関して包括代理権を与えられている。例えば、成年後見人は、成年被後見人が所有する不動産を、成年被後見人の利益のために処分をすることができる(成年後見監督人が選任されている場合は、成年後見監督人の同意が必要である(民法第864条))。
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