谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第10回】
「税法における類推解釈の許容性」
-税法解釈原理としての「疑わしきは納税者の利益に」の妥当性-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
税法の解釈については、租税法律主義の下で、厳格な解釈が要請され、原則として文理解釈によるべきであり、類推解釈は許されないことに異論はない(清永敬次『税法〔新装版〕』(ミネルヴァ書房・2013年)35頁、金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)123頁等参照)。
一般に、類推解釈という用語は、「類推を拡張解釈などと同様に、体系的解釈の一種とする見解」(田中成明『現代法理学』(有斐閣・2011年)469頁)に従った用語法によるものと解されるが、類推とは「ある事案を直接に規定した法規がない場合に、それと類似の性質・関係をもった事案について規定した法規を間接的に適用すること」(同468頁)をいうところ、「狭義の解釈が法規の文理的意味の範囲内で行われるのに対して、類推は、法の欠缺の存在を前提として、法規を間接推論によって適用する補充作業であるから、両者は法理論的には区別すべきである」(同469頁。下線筆者)とされている。つまり、類推は、法理論的には、狭義の解釈とは異なり、法の欠缺を補充するための法創造と性格づけられるのである。
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