公開日: 2023/03/23 (掲載号:No.512)
文字サイズ

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第24回】「租税回避の否認と租税法律主義」-土地相互売買[岩瀬]事件・東京高判平成11年6月21日訟月47巻1号184頁-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基本判例

【第24回】

「租税回避の否認と租税法律主義」

-土地相互売買[岩瀬]事件・東京高判平成11年6月21日訟月47巻1号184頁-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

本連載では、第1回の冒頭で述べたとおり、基本的には拙著『税法基本講義』(弘文堂。当時は第6版[2018年]、現在は第7版[2021年])における叙述の順に、税法に関する基本判例を取り上げ検討することにしているが、第20回以降ここ4回は租税回避に関する基本判例を取り上げて検討してきた。今回は、租税回避をめぐる基本的かつ重要な論点の1つであるその否認に関する明文の規定の要否(この問題については前掲拙著【72】参照)について、判例の立場を検討することにする。

上記の論点について、かつては、否認規定不要説の立場に立つ裁判例がみられた。例えば、大阪高判昭和39年9月24日訟月10巻11号1597頁は次のとおり判示していた(下線筆者。以下「昭和39年大阪高判」という)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

谷口教授と学ぶ

税法基本判例

【第24回】

「租税回避の否認と租税法律主義」

-土地相互売買[岩瀬]事件・東京高判平成11年6月21日訟月47巻1号184頁-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

本連載では、第1回の冒頭で述べたとおり、基本的には拙著『税法基本講義』(弘文堂。当時は第6版[2018年]、現在は第7版[2021年])における叙述の順に、税法に関する基本判例を取り上げ検討することにしているが、第20回以降ここ4回は租税回避に関する基本判例を取り上げて検討してきた。今回は、租税回避をめぐる基本的かつ重要な論点の1つであるその否認に関する明文の規定の要否(この問題については前掲拙著【72】参照)について、判例の立場を検討することにする。

上記の論点について、かつては、否認規定不要説の立場に立つ裁判例がみられた。例えば、大阪高判昭和39年9月24日訟月10巻11号1597頁は次のとおり判示していた(下線筆者。以下「昭和39年大阪高判」という)。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)、『基礎から学べる租税法〔第3版〕』(共著・弘文堂・2022年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社、2023年)など。
 
  

関連書籍

現代税法入門塾

石村耕治 編

入門税法

公益社団法人 全国経理教育協会 編

図解 租税法ノート

八ッ尾順一 著

【電子書籍版】資産税実務問答集

後藤幸泰 編 信永 弘 編

事例で解説 法人税の損金経理

税理士 安部和彦 著

ここが違う! プロが教える土地評価の要諦

税理士・不動産鑑定士 東北 篤 著

〇×判定ですぐわかる資産税の実務

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

資産税の取扱いと申告の手引

後藤幸泰 編 信永 弘 編

資産税実務問答集

後藤幸泰 編 信永 弘 編

不動産の評価・権利調整と税務

鵜野和夫 著 税理士・不動産鑑定士 下﨑 寛 著 税理士・不動産鑑定士 関原教雄 著

土地・株式等の財産評価

税理士 香取 稔 著

不動産実務百科Q&A

一般財団法人 日本不動産研究所 著

原価計算の税務

税理士 鈴木清孝 著

わたしは税金

公認会計士・税理士 鈴木基史 著
#