公開日: 2025/08/28 (掲載号:No.633)
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谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第51回】「類推解釈と「疑わしきは納税者の利益に」」-借地権利金「経済的実質」事件・最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁-

筆者: 谷口 勢津夫

谷口教授と学ぶ

税法基本判例

【第51回】

「類推解釈と「疑わしきは納税者の利益に」」

-借地権利金「経済的実質」事件・最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

今回は、借地権の設定に伴い授受される権利金(以下「借地権利金」という)に係る所得税法上の所得区分が争われた事件に関する最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁(以下「本判決」という)を検討する。

本判決は次のとおり判示して(以下「判旨A」という。下線筆者)、昭和34年法律第79号による改正前の所得税法(昭和22年法律第27号。以下「旧所得税法」という)の下で一般論としては類推解釈により一定の借地権利金の譲渡所得該当性を認めたものであり、税法の分野では類推解釈ないし類推適用を認めた(と解される)数少ない判例の1つである(他の判例については拙著『税法創造論』(清文社・2022年)147-149頁[初出・2021年]参照。なお、類推解釈と類推適用は、類推すなわち「ある事案を直接に規定した法規がない場合に、それと類似の性質・関係をもった事案について規定した法規を間接的に適用すること」(田中成明『現代法理学』(有斐閣・2011年)468頁)を法適用過程における法適用者の視線(同459-460頁参照)の「先」に着目して別異に表現したものであると解されるので、以下では特に区別することなく用いることにする)。

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税法基本判例

【第51回】

「類推解釈と「疑わしきは納税者の利益に」」

-借地権利金「経済的実質」事件・最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁-

 

大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫

 

Ⅰ はじめに

今回は、借地権の設定に伴い授受される権利金(以下「借地権利金」という)に係る所得税法上の所得区分が争われた事件に関する最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁(以下「本判決」という)を検討する。

本判決は次のとおり判示して(以下「判旨A」という。下線筆者)、昭和34年法律第79号による改正前の所得税法(昭和22年法律第27号。以下「旧所得税法」という)の下で一般論としては類推解釈により一定の借地権利金の譲渡所得該当性を認めたものであり、税法の分野では類推解釈ないし類推適用を認めた(と解される)数少ない判例の1つである(他の判例については拙著『税法創造論』(清文社・2022年)147-149頁[初出・2021年]参照。なお、類推解釈と類推適用は、類推すなわち「ある事案を直接に規定した法規がない場合に、それと類似の性質・関係をもった事案について規定した法規を間接的に適用すること」(田中成明『現代法理学』(有斐閣・2011年)468頁)を法適用過程における法適用者の視線(同459-460頁参照)の「先」に着目して別異に表現したものであると解されるので、以下では特に区別することなく用いることにする)。

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連載目次

谷口教授と学ぶ「税法基本判例」

第1回~第20回

第21回~

筆者紹介

谷口 勢津夫

(たにぐち・せつお)

大阪学院大学法学部教授

1956年高知県生まれ。京都大学法学部卒業、同大学大学院法学研究科博士後期課程単位修得退学。甲南大学法学部教授、大阪大学大学院高等司法研究科教授を経て2022年4月より現職。大阪大学名誉教授。ほかに大阪大学大学院高等司法研究科長・大阪大学法務室長、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨励研究員(Forschungsstipendiat der Alexander von Humboldt-Stiftung)・ミュンヘン大学客員研究員、日本税法学会理事長、租税法学会理事、IFA(International Fiscal Association)日本支部理事、資産評価政策学会理事、司法試験考査委員、公認会計士試験試験委員、独立行政法人造幣局契約監視委員会委員・委員長、大阪府収用委員会委員・会長、大阪府行政不服審査会委員・会長、公益財団法人日本税務研究センター評議員・同センター理事・同センター「日税研究賞」選考委員、公益財団法人納税協会連合会「税に関する論文」選考委員、公益社団法人商事法務研究会「商事法務研究会賞」審査委員、近畿税理士会・近畿税務研究センター顧問など(一部現職。ほか歴任)。

主要著書は『租税条約論』(清文社・1999年)、『租税回避論』(清文社・2014年)、『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(共著・ミネルヴァ書房・2015年)、『税法の基礎理論』(清文社・2021年)、『税法創造論』(清文社・2022年)、『税法基本判例Ⅰ』(清文社・2023年)、『基礎から学べる租税法〔第4版〕』(共著・弘文堂・2025年)、『税法基本講義〔第8版〕』(弘文堂・2025年)など。
 
  

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