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【STEP5】財務活動によるキャッシュ・フローの算定
(1) 新規借入
(2) 借入の返済
(3) 新規リース
(4) リース債務の返済
(5) 配当金の支払
(6) 自己株式の取得
(1) 新規借入
新規借入を行うことにより、キャッシュが増加するため、新規借入額を借入れによる収入として表示する。
(2) 借入の返済
借入の返済により、キャッシュが減少するため、借入金の返済による支出として表示する。
《設例》
前期末、当期末の連結貸借対照表、連結損益計算書は以下のとおりである。
- 長期借入金・・・前期末:5,000、当期末:6,000
- 新規借入・・・3,000
- 長期借入金の返済・・・2,000
- 未払利息・・・前期末:0、当期末:100
- 支払利息・・・300
- 税金等調整前当期純利益・・・5,000
(3) 新規リース
新たにリース契約を結んだ時点では、キャッシュの増減はないため、連結キャッシュ・フロー計算書上では、表示されない。
(4) リース債務の返済
リース債務の返済によりキャッシュが減少するため、リース債務の返済による支出として表示する。
具体的には、資産計上したファインス・リース取引に係る支払リース料は、会社が選択した会計処理により以下のように表示する。
① 資産計上したファイナンス・リース取引の場合
(ⅰ) 利子抜き法
ファインス・リース取引に係る支払リース料は、原則、元本部分と支払利息部分に区分して会計処理を行う(利子抜き法)。この場合、元本部分は、財務活動によるキャッシュ・フローに表示する。支払利息部分は、会社が選択した支払利息の表示区分に従って表示する(上記【STEP1】(9)参照)。
(ⅱ) 利子込み法
ファイナンス・リース取引で支払リース料から利息相当額部分を控除しない方法(利子込み法)を採用している場合、支払リース料全額を財務活動によるキャッシュ・フローに表示する。
② 賃貸借処理の場合
オペレーティング・リースなどで賃貸借処理した支払リース料については、通常は営業損益計算の対象に含まれるため、営業活動によるキャッシュ・フローに表示する(実務指針34(1))。支払リース料は、税金等調整前当期純利益に含まれているため、特段の調整は不要である。
《設例》
前期末、当期末の連結貸借対照表、連結損益計算書は以下のとおりである。
- リース資産・・・前期末:1,000、当期末:3,500
- リース債務・・・前期末:1,000、当期末:3,500
※リース取引の会計処理は、支払リース料から利息相当額を控除しない方法(利子込み法)である。 - 減価償却費・・・500
- 期末に新規取得したリース資産の取得価額・・・3,000
- 税金等調整前当期純利益・・・5,000
※消費税は考慮しない。
※リース取引の会計処理は、支払リース料から利息相当額を控除しない方法(利子込み法)である。
(5) 配当金の支払
配当金の支払によりキャッシュが減少するため、親会社の配当は、配当金の支払額として表示する(上記【STEP1】(1)参照)。子会社の非支配株主への配当は、非支配株主への配当金の支払額として表示する。
(6) 自己株式の取得
自己株式の取得によりキャッシュが減少するため、自己株式の取得による支出として表示する。
《設例》
前期末、当期末の連結貸借対照表は以下のとおりである。
- 自己株式 前期末:0、当期末:1,000
※自己株式の取得に係る費用はゼロとする。