公開日: 2014/09/25 (掲載号:No.87)
文字サイズ

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第9回】「連結キャッシュ・フロー」

筆者: 西田 友洋

(前ページ【STEP1】へ戻る)

【STEP2】キャッシュ・フロー精算表の作成

※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。

連結キャッシュ・フロー計算書を作成するには、キャッシュ・フロー精算表を作成するのが効果的である。そのため、ここでは、この後のSTEPで用いるキャッシュ・フロー精算表を作成する。

具体的には、以下のような表を作成する。

※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。

キャッシュ・フロー精算表は、大きく「(A)連結貸借対照表の増減を計算する箇所」、「(B)連結貸借対照表の増減を調整する箇所」、「(C)連結キャッシュ・フロー計算書を作成する箇所」の3つに分けることができる。このSTEPでは、以下の2つのことを行う。

(1) 前期連結貸借対照表と当期連結貸借対照表の差額を算定

(2) 内容別に金額を記入

 

(1) 前期連結貸借対照表と当期連結貸借対照表の差額を算定

「(A)連結貸借対照表の増減を計算する箇所」で前期連結貸借対照表と当期連結貸借対照表の差額を算定する。前期及び当期連結貸借対照表の数値の入力においては、資産項目はプラスで入力し、負債及び純資産項目はマイナスで入力する。

現金及び預金の増減を除いて、前期連結貸借対照表と当期連結貸借対照表の差額のプラスはキャッシュ・アウト・フローを表しマイナスはキャッシュ・イン・フローを表す

 

(2) 内容別に金額を記入

上記(1)で算定した増減金額を内容別に「(B)連結貸借対照表の増減を調整する箇所」に入力していく。(A)の増減がプラスであれば、(B)ではマイナスで入力し、(A)の増減がマイナスであれば、(B)ではプラスで入力する。そして、右端の合計欄はゼロとなる。例えば、(A)の売掛金の「当期末-前期末」が+500であれば、(B)の売掛金の増減では、(500)と入力する。

(B)は各社の状況に応じて、項目を増やしたり、まとめたりすることで、効率的に連結キャッシュ・フロー計算書を作成することができる。

「(C)連結キャッシュ・フロー計算書を作成する箇所」には、【STEP3】以降で検討した金額を記入することになる。

(次ページ【STEP3】へ進む)

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第9回】

「連結キャッシュ・フロー」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、連結キャッシュ・フローを解説する。

貸借対照表は企業の財政状態を表す。損益計算書は企業の経営成績を表す。一方、キャッシュ・フロー計算書は企業の資金の流れの状況を表す。

キャッシュ・フロー計算書を作成することで、資金の流れの状況を把握する以外にも、黒字倒産(利益は出ているが、売掛金等の回収がされず、資金繰りに窮して倒産すること)の兆候を把握することができる。

連結財務諸表作成会社では、キャッシュ・フロー計算書は連結のみで作成するため、本フロー・チャートでは、「連結」キャッシュ・フロー計算書について解説する。

連結キャッシュ・フロー計算書の作成方法には、「原則法」「簡便法」がある。

「原則法」とは、各社ごとに個別キャッシュ・フロー計算書を作成し、そこから、連結会社間の内部取引の相殺などを行い、連結キャッシュ・フロー計算書を作成する方法である。

「簡便法」とは、連結貸借対照表の増減やその他の情報をもとに連結キャッシュ・フロー計算書を作成する方法である。

連結キャッシュ・フロー計算書には、「営業活動に係るキャッシュ・フロー」という区分がある(下記、【STEP3】参照)が、この表示方法には、「直接法」「間接法」がある。

「直接法」とは、主要な取引ごとにキャッシュ・フローについて総額で表示する方法である。

「間接法」とは、税金等調整前当期純利益に営業活動に係る資産(売掛金、棚卸資産等)及び負債(買掛金等)の増減、「投資活動によるキャッシュ・フロー(下記、【STEP4】参照)」及び財務活動によるキャッシュ・フロー(下記、【STEP5】参照)」の区分に含まれる損益項目を加減して表示する方法である。

連結キャッシュ・フロー計算書は、「簡便法」かつ「間接法」で作成する会社が多いと推測されるため(特にエクセルで連結キャッシュ・フロー計算書を作成する場合)、本フロー・チャートでは、「簡便法」かつ「間接法」で作成する場合について解説する。

そして、連結キャッシュ・フロー計算書の作成は、以下の9つのステップに分けることができる。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

新着情報

もっと⾒る

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#