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【STEP2】交付後の会計処理
特定譲渡制限付株式の交付後は、現物出資等をされた報酬債権相当額のうち、その役員等が提供する役務として当期に発生したと認められる額を、対象勤務期間(=譲渡制限期間)を基礎とする方法等の合理的な方法により算定し、「株式報酬費用」等で費用計上することが考えられる。
なお、付与した報酬債権相当額のうち譲渡制限解除の条件未達により会社が役員等から株式を無償取得することとなった部分(役員等から役務提供を受けられなかった部分)については、その部分に相当する前払費用等を取り崩し、同額を損失処理することなどが考えられる。
【自己株式を処分する場合】
特定譲渡制限付株式の付与を新株発行ではなく自己株式の処分による場合には、自己株式の帳簿価額を減額し、自己株式の処分の対価(報酬債権相当額)と帳簿価額との差額である処分差額(「自己株式処分差益」又は「自己株式処分差損」)を、その他資本剰余金として処理する。
また、その処理の結果、その他資本剰余金の残高がマイナスとなる場合には、期末日において、その他資本剰余金をゼロとし、その負の値をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)から減額する。
《会計処理の例》
(出所:経済産業省 『「攻めの経営」を促す役員報酬-企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引-』Q44)
【税効果の取扱い】
特定譲渡制限付株式が以下のいずれかに該当する場合、法人税法上、損金算入される。
➤事前確定届出給与の損金算入要件を満たす場合
➤退職給与に該当する場合
そして、会計上は、毎期、費用処理する一方、税務上は譲渡制限が解除された時点で損金算入されるため、一時差異が生じる。そのため、回収可能性を検討した上で、繰延税金資産を計上する必要がある。
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以上、2のステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。
【参考】
(了)
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