計算書類作成に関する
“うっかりミス”の事例と防止策
【第5回】
「「事業年度」と「連結会計年度」の書き換えミス」
公認会計士 石王丸 周夫
1 今回の事例
計算書類のドラフトには、うっかりミスがつきものです。
たとえば、こんなミスをよく見かけます。
【事例5-1】
個別注記表の注記文章の中で、「事業年度」と記載すべきところを「連結会計年度」と記載してしまう。
〔誤〕
法人税等の税率の変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正
「所得税法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第10号)が平成26年3月31日に公布され、平成26年4月1日以後に開始する連結会計年度から復興特別法人税が課されないこととなりました。これに伴い、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に使用する法定実効税率は、平成26年4月1日に開始する連結会計年度に解消が見込まれる一時差異については従来の**%から**%になります。
この税率変更により、繰延税金資産の金額(繰延税金負債の金額を控除した金額)は〇〇〇百万円減少し、法人税等調整額が同額増加しています。
〔正〕
法人税等の税率の変更による繰延税金資産及び繰延税金負債の金額の修正
「所得税法等の一部を改正する法律」(平成26年法律第10号)が平成26年3月31日に公布され、平成26年4月1日以後に開始する事業年度から復興特別法人税が課されないこととなりました。これに伴い、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に使用する法定実効税率は、平成26年4月1日に開始する事業年度に解消が見込まれる一時差異については従来の**%から**%になります。
この税率変更により、繰延税金資産の金額(繰延税金負債の金額を控除した金額)は〇〇〇百万円減少し、法人税等調整額が同額増加しています。
【事例5-1】は、個別注記表に記載される税効果会計に関する注記の一部です。法人税等の税率の変更があって、繰延税金資産負債の金額修正があった場合に記載されます。計算書類では必ずしも記載を強制されている注記事項ではありませんが、該当する年度は、多くの企業でこの記載が見られます。
【事例5-1】は、上段が誤った記載例で、下段が正しい記載例です。ご覧いただきたいのは赤字部分です。上段の誤った事例では「連結会計年度」となっていますが、下段の正しい事例では「事業年度」となっています。
会社法の決算書では、税効果会計関係の注記は個別注記表で記載が求められます。連結注記表では記載は不要です。【事例5-1】も個別注記表の記載文章です。したがって、年度を表す用語は「事業年度」であって、「連結会計年度」ではありません。
この事例の作成者もそのことは十分にわかっていたはずです。にもかかわらず、どうしてこんなミスをしでかしてしまったのでしょうか。
実はこのミス、起こるべくして起こったものです。
注記表(連結・個別)では、この種のミスが頻繁に起きています。
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