谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第4回】
「課税要件明確主義と立法者の説明責任」
-ホステス報酬源泉徴収事件・最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
今回は、租税法律主義(形式的租税法律主義)の要請のうち課税要件明確主義に関してホステス報酬源泉徴収事件・最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁(以下「本判決」という)を取り上げる。
本判決は、「租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきものではな[い]」と判示し、税法の解釈に関する厳格解釈の要請ないし文理解釈の原則(拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)【44】参照)を確立したものとして高く評価されているが(差し当たり、佐藤英明「最高裁判例に見る租税法規の解釈手法」山本敬三=中川丈久編『法解釈の方法論-その諸相と展望』(有斐閣・2021年)341頁、347頁参照)、以下では、本判決が立法者の説明責任の問題を浮かび上がらせた点に着目し、本件に即してこの問題を検討することにする。
その前に、課税要件明確主義と立法者の説明責任との関係という観点から、特に不確定法概念の解釈の文脈で租税法規の趣旨・目的の重要性について述べておこう。
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