谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第30回】
「誤還付「過納金」相当額の「納付」に係る延滞税の賦課と課税上の衡平」
-延滞税不発生事件・最判平成26年12月12日訟月61巻5号1073頁-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前回は、納税義務の消滅原因(拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【104】)の1つである還付金等の充当(同【116】)の前提として整理した還付金等の意義(同【115】)に関連して、過納金相当額の不当利得の返還を認めた判例を取り上げ検討したが、今回は還付金等のうち過納金の還付に関連して、「過納金」相当額の誤還付に伴う「納付」(いわば返納)に伴う延滞税の賦課が争われた事件において延滞税の納付義務の不存在を確認した最判平成26年12月12日訟月61巻5号1073頁(以下「本判決」という)を検討する。本判決には少数意見として千葉勝美裁判官の補足意見と小貫芳宣裁判官の意見が表示されている。
本件は、納税者(上告人ら)が相続税の期限内申告及び納付をした後で更正の請求をしたところ、所轄税務署長において、相続財産(土地)の評価の誤りを理由に減額更正をし、その減額分相当額を過納金として還付した後、自ら当該減額更正の内容を覆しこれに係る相続財産の評価の誤りを理由に増額更正を行い、これにより「新たに」納付すべきこととなった本税額につき、平成28年度税制改正前の国税通則法60条1項2号、2項及び61条1項1号に基づき、法定納期限の翌日から完納の日までの期間に係る延滞税の納付の催告をしたことから、納税者が国(被上告人)を相手に、上記の延滞税は発生していないとして、その納付義務がないことの確認を求めた事件である。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。