谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第51回】
「類推解釈と「疑わしきは納税者の利益に」」
-借地権利金「経済的実質」事件・最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
今回は、借地権の設定に伴い授受される権利金(以下「借地権利金」という)に係る所得税法上の所得区分が争われた事件に関する最判昭和45年10月23日民集24巻11号1617頁(以下「本判決」という)を検討する。
本判決は次のとおり判示して(以下「判旨A」という。下線筆者)、昭和34年法律第79号による改正前の所得税法(昭和22年法律第27号。以下「旧所得税法」という)の下で一般論としては類推解釈により一定の借地権利金の譲渡所得該当性を認めたものであり、税法の分野では類推解釈ないし類推適用を認めた(と解される)数少ない判例の1つである(他の判例については拙著『税法創造論』(清文社・2022年)147-149頁[初出・2021年]参照。なお、類推解釈と類推適用は、類推すなわち「ある事案を直接に規定した法規がない場合に、それと類似の性質・関係をもった事案について規定した法規を間接的に適用すること」(田中成明『現代法理学』(有斐閣・2011年)468頁)を法適用過程における法適用者の視線(同459-460頁参照)の「先」に着目して別異に表現したものであると解されるので、以下では特に区別することなく用いることにする)。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。
すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。
Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。
会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。