空き家をめぐる法律問題
【事例1】
「立木の侵入や擁壁の崩壊等した場合の法的責任」
弁護士 羽柴 研吾
- 事 例 -
私は、現在、関西で暮らしていますが、東北の実家で一人暮らしであった母が亡くなったため、母名義の実家の土地と建物を相続しました。実家は、現在は空き家となっています。
私の実家の土地は、隣家より少し高い位置にあるため、隣家との法面をブロック塀で補強しており、ブロック塀に沿って木を植えています。ある日、私が実家に立ち寄った際に、ポストに隣家の方からの手紙が届いていました。手紙には、主として次の2つの事項が書かれていました。
【1】 昨年の大雪で一部崩れたブロック塀の間から木の根が出ており、枝も成長して侵入しているので、枝と根を切除すること
【2】 ブロック塀が崩れて土砂が流入しているので、除去すること
このような場合、どのように対応すればよいでしょうか。
1 空き家の類型と管理責任について
近年、空き家に関する議論は、空き家の取壊し関するものから有効活用に関するものまで、広がりを見せている。
もっとも、ひと言に「空き家」と言っても、
① 建物自体の管理が放棄されており、周囲に危険を及ぼすおそれがあるもの
② 周囲に危険を及ぼすおそれは低いが、適切な管理が行われていないもの
③ 有効活用できる状態のもの
など様々な状態の空き家がある。
このため、空き家の管理に関する法律問題を考えるに当たっては、その空き家がどのような状態の空き家であるかを意識して検討することが有益である。
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