空き家をめぐる法律問題
【事例22】
「マンションが空き家の場合の法的責任と対応」
-水漏れ事故の場合-
弁護士 羽柴 研吾
- 事 例 -
Aはマンションの一室の区分所有者であるところ、天井から水漏れが発生し、住戸内が水で濡れ家財等にも被害が生じている。その原因は、マンション内の配管の老朽化が原因であることまでは判明したが、上階の住戸に居住者はおらず、生存しているのか死亡しているのかもわからない。
Aは管理組合に対応を相談しているが、このような場合、誰がAに対して損害賠償義務を負うか。
1 マンション空き家の問題
空き家の問題は、一戸建てに限らず、マンションのような集合住宅でも生じている。マンションの場合には、1つの建物に複数の権利者が存在するため、一戸建ての場合以上に問題が複雑化する可能性がある。
そこで今回は、マンションが空き家の場合に、水漏れ事故が生じた事例の法律関係を検討することとしたい。なお、ここでいう「マンション」は、区分所有権の対象となるものであり、いわゆる単一オーナーが賃貸に供しているものではない。
2 専有部分と共用部分とを区別することの意味
住戸の天井から水漏れが生じ、それが上階の住戸の配管の老朽化が原因(保存に瑕疵)と特定でき、それが専有部分に属する場合には、上階の住戸の区分所有者が占有者として損害賠償責任(民法第717条)を負うことになる。これに対して、当該配管が共用部分である場合には、管理組合が共用部分の占有者となることから、管理組合が賠償責任を負う。
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