谷口教授と学ぶ
税法基本判例
【第38回】
「質問検査に関する租税権力関係説的構成と租税債務関係説的構成」
-荒川民商事件・最決昭和48年7月10日刑集27巻7号1205頁-
大阪学院大学法学部教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前回までは、申告納税制度における各措置に関する判例として、納税者による第一次的確定権の行使及び第一次的確定義務の履行としての納税申告(谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」第11回2参照)に関する判例やこれに関連して加算税及び更正の請求に関する判例を取り上げ検討してきたが、今回からは、税務官庁による第二次的確定権の行使及び第二次的確定義務の履行としての課税処分(同第15回1参照)に関する判例を取り上げ検討することにする(その検討において重視する考え方に関連して、申告納税制度の体系的把握については同第11回2、それによる納税義務の確定に係る相互チェック構造については同第15回2参照)。
今回は、国税通則法が課税処分の前提要件として定める税務官庁の「調査」(24条~26条)の要件・手続に関する判例の基本的立場を確立した荒川民商事件・最決昭和48年7月10日刑集27巻7号1205頁(以下「昭和48年最決」という)を取り上げ検討することにする。この判決は、「調査」の憲法(35条・38条等)適合性に関する川崎民商事件・最大判昭和47年11月22日刑集26巻9号554頁(以下「昭和47年最大判」という)と並んで「調査」に関する基本判例である。
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