M&Aに必要な
デューデリジェンスの基本と実務
-財務・税務編-
公認会計士・公認不正検査士
松澤 公貴
◇〔財務・税務編〕開始にあたって◇
「M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務」は、今回からいよいよ、財務デューデリジェンスの調査項目ごとにその調査内容・調査手順を説明する「各論」に入る。また、これと並行して、本連載の姉妹編「M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-法務編-」の連載も開始される。
読者諸賢は、本連載を財務・税務デューデリジェンスに関する独立の読み物として読んでいただいてもよいが、並行して連載される「M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-法務編-」とともに読み進めていただくことで、総合的・有機的にデューデリジェンスを理解し、その実務を身に付けることができる。
《第1章》
-実態純資産の分析-
-はじめに-
純資産とは、総資産から総負債を控除したものであり、売り手の保有資産のうち株主に帰属する部分を示すものである。M&Aの多くは、株主譲渡の形式で実行されるか、組織再編により純資産を取込むことになるため、財務・税務デューデリジェンスにおいて純資産価値の把握は、非常に重要である。
しかしながら、対象会社等の財務諸表は、会社法・税法などの制度会計の基準に従って作成されているため、M&Aを前提とした株主持分の正確な経済的価値が必ずしも適切に示されているとは言えない。
よって、財務・税務デューデリジェンスにおいては、制度会計の基準に従って作成された財務諸表を基礎として、純資産の経済的価値を再計算することが必要となる。この再計算をした純資産を「実態純資産」というのである。
なお、本稿から複数回にわたり、実態純資産の分析を概説する。
第1節 純有利子負債の分析
【第1回】
「純有利子負債の分析(その1)」
〔分析の対象となる主な勘定科目〕
- 有利子負債:借入金、社債、ファイナンスリース債務、未払利息 など
- 現預金等:現金及び現金同等物 など
(場合により)
- 負債類似項目(デットライクアイテム)
(※) 対象会社の事業の特性により範囲が異なる。
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