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【STEP7】持分法会計における税効果
(1) 資産・負債の評価差額に係る一時差異(上記【STEP5】(1)①参照)
(2) 未実現損益の消去に係る一時差異
(1) 資産・負債の評価差額に係る一時差異
連結会計と同様に持分法適用会社は、時価評価に伴う評価差額についても税効果を認識する。詳細は、第5回【STEP1】(2)①及び上記【STEP5】(1)①参照。
(2) 未実現損益の消去に係る一時差異
未実現損益の消去に係る一時差異における税効果の上限に関する考え方は、第5回【STEP4】(2)と同様である。ただし、ダウンストリームとそれ以外で使用する勘定科目が異なる。
① ダウンストリームの場合
ダウンストリームの場合、投資会社で未実現損益を消去するため、投資会社で税効果を認識する(持分法指針26)。そのため、「繰延税金資産(繰延税金負債)」及び「法人税等調整額」の勘定科目を使用する。
投資会社が関連会社に商品を販売し、関連会社がその商品を保有している場合の会計処理は以下のとおりである。
【会計処理】
(*1) 投資会社から購入した商品の期末残高×利益率×投資会社持分比率
(*2) (*1)×法定実効税率
② ダウンストリーム以外の場合
ダウンストリーム以外(アップストリーム、持分法適用会社間の取引)の場合、持分法適用会社で未実現損益を消去するため、持分法適用会社で税効果を認識する(持分法指針25)。
ただし、持分法会計では、持分法適用会社の個別財務諸表を合算せず、「投資有価証券」の増減で持分法適用会社に対する持分の増減を表すため、税効果についても「投資有価証券」及び「持分法による投資損益」の勘定科目を使用する。
関連会社が投資会社に建物を販売し、投資会社がその建物を保有している場合の会計処理は以下のとおりである。
【会計処理】
(*1) (売却価額-関連会社で計上していた際の帳簿価額)×投資会社持分比率
(*2) (*1)×法定実効税率
* * *
以上、7のステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。
【参考】
企業会計基準委員会
- 企業会計基準第16 号「持分法に関する会計基準」※PDFファイルが開きます
- 実務対応報告第24 号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」※PDFファイルが開きます
(了)
「フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 」は、毎月最終週に掲載されます。