公開日: 2014/08/28 (掲載号:No.83)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第8回】「持分法会計」

筆者: 西田 友洋

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【STEP6】未実現損益の消去

連結会計と同様に、連結会社と持分法適用会社間の取引、持分法適用会社同士の取引により未実現損益が生じている場合、重要性が乏しい場合を除き、未実現損益を消去する必要がある(持分法基準13)。

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例えば連結会社と持分法適用会社間で商品や固定資産を売却側の帳簿価格より高い(又は安い)金額で売買した場合、未実現損益の消去が必要となる。

なお、未実現損失の場合、売手側の帳簿価額のうち回収不能と認められる部分の消去は行わない(持分法指針11)。回収可能と認められる部分まで消去することになる。

消去すべき未実現損益及び使用する勘定科目は以下のとおりである(持分法指針11~13)。
	取引の流れ	消去すべき未実現損益	使用する勘定科目 ダウン・ストリーム	投資会社  ⇒ 関連会社	持分相当額を消去(注)	【原則】 「売上高」などの損益勘定と「投資有価証券」を使用 【容認】 利害関係者の判断を著しく誤らせない場合、「持分法による投資損益」と「投資有価証券」を使用 	投資会社  ⇒ 非連結子会社	全額消去	 	投資会社  ⇒ 連結子会社の関連会社	連結子会社の持分相当額を消去(注)	 	連結子会社  ⇒ 関連会社	持分相当額を消去(注) +非支配株主に按分	 	連結子会社  ⇒ 非連結子会社	全額消去+非支配株主に 按分	 アップ・ストリーム	関連会社  ⇒ 投資会社	持分相当額を消去	【原則】 「持分法による投資損益」と「商品」などの資産勘定を使用 【容認】 利害関係者の判断を著しく誤らせない場合、「持分法による投資損益」と「投資有価証券」を使用 	非連結子会社  ⇒ 投資会社		 持分法適用会社間の取引	売却元に対する持分比率と売却先に対する持分比率を乗じた分を消去	「持分法による投資損益」と「投資有価証券」を使用

(注) 状況から判断して、他の株主の持分についても実質的に実現していないと判断される場合には、全額消去する。

未実現損益の実現は連結会計と同様である。実現の態様を資産の種類ごとにまとめると以下のように異なる。

【商品の場合】

  • 企業グループ外への売却により実現
  • 評価損の計上により実現
  • 廃棄により実現

【非償却資産の場合】

  • 企業グループ外への売却により実現
  • 固定資産の減損により実現

【償却資産の場合】

  • 企業グループ外への売却により実現
  • 減価償却により実現
  • 除却により実現
  • 固定資産の減損により実現

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第8回】

「持分法会計」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

前回は持分法会計を除く連結会計を解説した。今回は、持分法会計を解説する。

【連結・持分法会計の全体イメージ】(再掲)
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連結会計は、個別財務諸表を単純合算して、そこに連結修正仕訳を追加する。いったん、すべて合計して、そこから修正を行うことから、「全部連結」ともいう。

一方、持分法会計は、持分法を適用する関連会社又は非連結子会社(持分法適用会社)のうち、投資会社(関連会社又は非連結子会社の株式を保有している会社)持分を基本的に

という一行の仕訳で連結財務諸表に取り込む。そのため、「一行連結」ともいう。

なお、個別財務諸表では、関連会社又は非連結子会社は、関連会社株式又は子会社株式で表示されるが、連結財務諸表では、持分法適用会社に対する投資勘定は、投資有価証券で表示される。

持分法会計は、以下の7つのステップに分けることができる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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