公開日: 2014/08/28 (掲載号:No.83)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第8回】「持分法会計」

筆者: 西田 友洋

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【STEP1】持分法の適用範囲の決定

まず、持分法の適用範囲を決定しなければならない。

《持分法の適用範囲》
持分法を適用して、連結財務諸表に計上する関連会社及び非連結子会社の範囲

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(1) 関連会社とは

出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えている場合における当該子会社以外の他の企業は、関連会社に該当する。

具体的には、以下の①~③に該当する場合、関連会社に該当する。

ただし、更生会社、破産会社その他これらに準ずる企業であって、かつ、当該企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる企業は除く(企業会計基準第16 号「持分法に関する会計基準」(以下「持分法基準」という)5、5-2)。

① 自己の計算において議決権の20%以上を所有している場合

② 自己の計算において議決権の15%以上、20%未満を所有し、かつ、以下(ⅰ)~(ⅴ)のいずれかに該当する場合

(ⅰ) 役員若しくは使用人である者又はこれらであった者で、自己が子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該子会社以外の他の企業の代表取締役、取締役等に就任していること

(ⅱ) 子会社以外の他の企業に対して重要な融資(債務の保証及び担保の提供を含む)を行っていること

(ⅲ) 子会社以外の他の企業に対して重要な技術を提供していること

(ⅳ) 子会社以外の他の企業との間に重要な販売、仕入その他の営業上又は事業上の取引があること

(ⅴ) その他子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること

③ 自己の計算において議決権の15%未満を所有している場合で、当該議決権と、緊密な者(第7回【STEP1】(1)②参照)及び同意している者(第7回【STEP1】(1)②参照)が所有している議決権を合計して、議決権の20%以上を所有し、かつ、下記の(ⅰ)~(ⅴ)までのいずれかに該当する場合

(ⅰ) 役員若しくは使用人である者又はこれらであった者で、自己が子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該子会社以外の他の企業の代表取締役、取締役等に就任していること

(ⅱ) 子会社以外の他の企業に対して重要な融資(債務の保証及び担保の提供を含む)を行っていること

(ⅲ) 子会社以外の他の企業に対して重要な技術を提供していること

(ⅳ) 子会社以外の他の企業との間に重要な販売、仕入その他の営業上又は事業上の取引があること

(ⅴ) その他子会社以外の他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること

 

(2) 非連結子会社とは

非連結子会社とは、子会社であるが、連結の範囲に含まれなかった子会社である。詳細は、第7回【STEP1】参照。

 

(3) 持分法の適用範囲

関連会社及び非連結子会社については、原則として持分法を適用する(持分法を適用した会社を「持分法適用会社」という)。ただし、以下の①及び②は、持分法の適用範囲に含めない(企業会計基準適用指針第22 号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」25、26)。また、以下の③の会社は、持分法の適用範囲に含めないことができる(監査・保証実務委員会報告第52号「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」5)。

【質的影響】

① 財務及び営業又は事業の方針の決定に対する影響が一時的であると認められる企業

② 上記①以外の企業であって、持分法を適用することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業

【金額的影響】

③ 利益、利益剰余金を考慮して、持分法の適用範囲から除いても企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を妨げない程度に重要性の乏しい企業

持分法の適用から除いた会社を「持分法非適用会社」という。

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第8回】

「持分法会計」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

前回は持分法会計を除く連結会計を解説した。今回は、持分法会計を解説する。

【連結・持分法会計の全体イメージ】(再掲)
※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。

連結会計は、個別財務諸表を単純合算して、そこに連結修正仕訳を追加する。いったん、すべて合計して、そこから修正を行うことから、「全部連結」ともいう。

一方、持分法会計は、持分法を適用する関連会社又は非連結子会社(持分法適用会社)のうち、投資会社(関連会社又は非連結子会社の株式を保有している会社)持分を基本的に

という一行の仕訳で連結財務諸表に取り込む。そのため、「一行連結」ともいう。

なお、個別財務諸表では、関連会社又は非連結子会社は、関連会社株式又は子会社株式で表示されるが、連結財務諸表では、持分法適用会社に対する投資勘定は、投資有価証券で表示される。

持分法会計は、以下の7つのステップに分けることができる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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