公開日: 2014/08/28 (掲載号:No.83)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第8回】「持分法会計」

筆者: 西田 友洋

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【STEP3】個別修正仕訳

投資会社と関連会社間で会計方針に違いがある場合、持分法の会計処理を行う前にその違いを統一しておく必要がある。また、決算日が異なることによる修正の検討も必要である。

(1) 会計方針の統一による修正

(2) 決算日が異なることによる修正

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(1) 会計方針の統一による修正

同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社と持分法を適用する関連会社の会計方針は原則として統一しなければならない(会計制度委員会報告第9号「持分法会計に関する実務指針」(以下「持分法指針」という)5)。

上場会社の株式を関連会社としたときなど、支配力が及ぶ子会社とは異なり、修正のために必要となる詳細な情報の入手が極めて困難なことがあり得る。

このような場合、投資会社と持分法適用会社である関連会社の会計処理方法を統一しないことが認められる(実務対応報告第24号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い 本実務対応報告の考え方(2)」。

(※) 在外関連会社における会計方針の統一については、本フロー・チャートでは解説していない。

 

(2) 決算日が異なることによる修正

連結決算日と持分法適用会社の決算日に差異があり、その差異の期間内に重要な取引又は事象が発生しているときには、影響する時期により、以下の修正又は注記を行う(持分法基準10)。

① 当期に影響

その差異の期間内に発生した取引又は事象のうち、その影響を持分法適用会社の当期の損益又は純資産に反映すべきもので、かつ連結上重要なものについては修正を行う。

② 次期以後に影響

また、持分法適用会社の次期以後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすもので、かつ連結上重要なものについては注記を行う(持分法指針4)。

例えば、以下のような場合に修正が必要となる。

連結決算日が3月末で関連会社の決算日が12月末の場合に、3月中に関連会社が重要な土地を外部に売却した。この場合に何ら修正しないと、関連会社の土地売却という取引は連結財務諸表に反映されない。

そのため、関連会社の12月末の個別財務諸表に土地売却取引の会計処理を追加する必要がある。

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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第8回】

「持分法会計」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

前回は持分法会計を除く連結会計を解説した。今回は、持分法会計を解説する。

【連結・持分法会計の全体イメージ】(再掲)
※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。

連結会計は、個別財務諸表を単純合算して、そこに連結修正仕訳を追加する。いったん、すべて合計して、そこから修正を行うことから、「全部連結」ともいう。

一方、持分法会計は、持分法を適用する関連会社又は非連結子会社(持分法適用会社)のうち、投資会社(関連会社又は非連結子会社の株式を保有している会社)持分を基本的に

という一行の仕訳で連結財務諸表に取り込む。そのため、「一行連結」ともいう。

なお、個別財務諸表では、関連会社又は非連結子会社は、関連会社株式又は子会社株式で表示されるが、連結財務諸表では、持分法適用会社に対する投資勘定は、投資有価証券で表示される。

持分法会計は、以下の7つのステップに分けることができる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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