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【STEP1】顧客との契約の識別
まず、顧客との契約を識別する。契約とは、強制可能な権利及び義務を生じさせる複数の当事者間の合意であり、以下の識別要件のすべてに該当するものをいう(意見募集197)。
(1) 契約の当事者が、契約を(書面で、口頭で又は他の取引慣行に従って)承認しており、それぞれの義務の履行を確約している。
(2) 企業が、移転すべき財又はサービスに関する各当事者の権利を識別できる。
(3) 企業が、移転すべき財又はサービスに関する支払条件を識別できる。
(4) 契約に経済的実質がある(契約の結果として、企業の将来キャッシュ・フローのリスク、時期又は金額が変動すると見込まれる)。
(5) 企業が、顧客に移転する財又はサービスと交換に権利を得ることになる対価を回収する可能性が高い。対価の金額の回収可能性が高いかどうかを評価する際に、企業は、顧客が期限到来時に当該対価の金額を支払う能力と意図だけを考慮しなければならない。
契約の識別の要件を満たした場合、【STEP2】を検討する。満たさない場合、以下のように収益認識を行う。
顧客との契約が契約の識別要件を満たさず、企業が顧客から対価を受け取る場合には、企業は、以下のいずれかの事象が発生している場合にのみ、受け取った対価を収益として認識する(意見募集200)。また、【STEP2】以降の検討は不要である。
- 企業が顧客に財又はサービスを移転する義務が残っておらず、かつ、顧客が約束した対価のすべて又はほとんどすべてを企業が受け取っていて、当該対価は返金不要である。
- 契約が解約されており、顧客から受け取った対価が返金不要である。
【補足ポイント①:契約の結合】
企業は、以下の要件のいずれかに該当する場合には、同一の顧客(又は顧客の関連当事者)と同時又はほぼ同時に締結した複数の契約を結合して、単一の契約として会計処理する(意見募集201)。
- 契約が単一の商業目的を有するパッケージとして交渉されている。
- 1つの契約で支払われる対価の金額が、他の契約の価格又は履行に左右される。
- 複数の契約で約束した財又はサービス(あるいは各契約で約束した財又はサービスの一部)が、単一の履行義務を構成する。
【補足ポイント②:契約の変更】
「契約の変更」とは、契約の当事者が承認した契約の範囲又は価格(あるいはその両方)の変更である。契約の変更が存在するのは、契約の当事者が、契約の当事者の強制可能な権利及び義務を新たに創出するか又は既存の強制可能な権利及び義務を変更することを承認した場合である。契約の変更の場合、以下のように会計処理する(意見募集202)。