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【STEP4】取引価格の履行義務への配分
ここでは、【STEP3】で算定した取引価格を【STEP2】で決定した各履行義務へ配分する。
取引価格を配分する目的は、企業がそれぞれの履行義務に対する取引価格の配分を、企業が約束した財又はサービスを顧客に移転するのと交換に権利を得ると見込んでいる対価の金額を描写する金額で行うことである(意見募集246)。
実際の配分は、契約で識別されているそれぞれの履行義務に対する取引価格の配分を独立販売価格(企業が約束した財又はサービスを独立に顧客に販売するであろう価格)の比率に基づいて行う(意見募集247、注44)。独立販売価格として最善のものは、企業が当該財又はサービスを同様の状況において同様の顧客に別個に販売する場合における、当該財又はサービスの観察可能な価格である。
財又はサービスについて契約書に記載された価格や定価は、当該財又はサービスの独立販売価格である可能性があるが、独立販売価格であると推定してはならない(意見募集248)。
独立販売価格が直接的に観察可能ではない場合には、企業は、独立販売価格を取引価格の配分の目的(意見募集246)に合致するように見積もらなければならない(意見募集249)。独立販売価格を見積もるための適切な方法には、以下の3つがある(意見募集249、注46)。
(1) 調整後市場評価アプローチ
財又はサービスを販売する市場を評価して、当該市場の顧客が当該財又はサービスに対して支払ってもよいと考えるであろう価格を見積もる。
(2) 予想コストにマージンを加算するアプローチ
履行義務を充足するためのコストを予測し、当該財又はサービスに対する適切なマージンを追加する。
(3) 残余アプローチ
取引価格の総額から契約で約束した他の財又はサービスの観察可能な独立販売価格の合計を控除した額を参照して見積もる。ただし、残余アプローチが使用できるのは以下のいずれかの要件を満たす場合に限られている。
- 企業が同一の財又はサービスを異なる顧客に(同時に又はほぼ同時に)広い範囲の金額で販売している(すなわち、代表的な独立販売価格が過去の取引又は他の観察可能な証拠から識別可能ではないため、販売価格の変動性が高い)。
- 企業が当該財又はサービスについての価格をまだ設定しておらず、当該財又はサービスがこれまで独立して販売されたことがない(すなわち、販売価格が不確定である)。
【補足ポイント①:値引きの特定の履行義務への配分】
値引きの全体が契約における履行義務のうち一部のみに関するものであるという観察可能な証拠を有している場合を除き、企業は、値引きを契約の中のすべての履行義務に比例的に配分しなければならない(意見募集250)。