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金融・投資商品の税務Q&A 【Q21】「投資一任口座(ラップ口座)における株式の譲渡に係る所得区分及び必要経費の控除」

筆者:箱田 晶子

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金融投資商品税務

【Q21】

「投資一任口座(ラップ口座)における

株式の譲渡に係る所得区分及び必要経費の控除」

 

PwC税理士法人
金融部 パートナー
税理士 箱田 晶子

 

[Q]

私(居住者たる個人)はA証券会社との間で投資一任契約を締結し、A証券会社に資産運用専用の口座(ラップ口座)を開設しました。A証券会社は、投資一任契約に基づき、私に代わり投資資金の運用に関する投資判断と執行を行い、上場株式等(原則所有期間1年以下)の取得、売買等を行います。私はA証券会社に投資顧問報酬として固定報酬及び成功報酬を支払うこととなっています。

この場合、投資一任口座内で行われた国内上場株式の売買取引から生じる所得区分はどのようになるのでしょうか。また、投資顧問報酬を所得から控除することはできますか。

なお、特定口座や非課税口座(NISA口座)は利用していません。

[A]

投資一任契約に基づく株式等の譲渡によるものである場合には、株式等の譲渡に係る事業所得、雑所得又は譲渡所得のいずれかの所得として申告分離課税の対象となります。

おたずねの投資一任契約は、所有期間1年以下の上場株式の売買を行うものであり、また、顧客が報酬を支払って、有価証券の投資判断とその執行をA証券会社に一任し、契約期間中に営利を目的として継続的に上場株式の売買を行っていると認められますので、その株式の譲渡による所得は、株式等の譲渡に係る事業所得又は雑所得に当たるものと考えられます。

したがって、支払うべき投資顧問報酬については、株式等の譲渡に係る必要経費として、各事業年度の上場株式等に係る譲渡収入から差し引くことができるものと考えらえます。

検 討

1 上場株式等の譲渡に係る課税の概要

上場株式等の譲渡から生じる所得については、他の所得と区分し、上場株式等の譲渡に係る事業所得、譲渡所得及び雑所得(以下、「上場株式等に係る譲渡所得等」)として、申告分離課税(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)が適用されます。

上場株式等が証券会社等の特定口座内の源泉徴収選択口座で保管されており譲渡益について証券会社等により源泉徴収がなされる場合を除き、原則として申告が必要となります。

株式等の譲渡による所得の所得分類について、所得税基本通達は以下の通り定めています(所基通23~35共-11)。

 株式の譲渡が営利を目的として継続的に行われている場合

事業所得又は雑所得

 以外の場合

譲渡所得

さらに、租税特別措置法所得税関係通達において、次に掲げる株式等の譲渡による部分の所得については、(株式等の譲渡に係る)譲渡所得として取り扱って差し支えない、とされています(措通37の10・37の11共-2)。

上場株式等で所有期間が1年を超えるものの譲渡による所得

上場株式等以外の株式等(一般株式等)の譲渡による所得

 

2 本件へのあてはめ

おたずねの投資一任契約(キーワード参照)は、所有期間1年以下の上場株式の売買を行うものであり、また、顧客である個人が報酬を支払って、有価証券の投資判断とその執行をA証券会社に一任し、契約期間中に営利を目的として継続的に上場株式の売買を行っていると認められますので、その株式の譲渡による所得は、株式等の譲渡に係る事業所得又は雑所得に当たるものと考えられます。

【Q20】で解説したように、株式等の譲渡に係る事業所得又は雑所得の場合、株式等の譲渡に係る総収入金額から控除できる株式等の譲渡に係る必要経費としては、株式等の取得費(取得に要する付随費用を含む)のほか、株式取得のための借入金利子、譲渡のために要した委託手数料、管理費等が含まれます。

したがって、支払うべき投資顧問報酬として固定報酬及び成功報酬については、各事業年度の上場株式等に係る譲渡収入から差し引くことができるものと考えらえます。

 

◇ ◆ キーワード ◆ ◇

『投資一任契約』

投資一任契約とは、投資運用業者が投資家から投資判断の全部又は一部を一任され、その投資判断に基づき投資を行うための権限を委託されることを内容とする契約をいいます。投資一任契約を締結したラップ口座では、この契約に基づいた資産配分構築や、株式、投資信託などの売買判断の一任、売買の注文執行が一般的に行われます。

【参考(関連条文)】
措法第37条の10
所基通23~35共-11
措通37の10・37の11共-2
国税庁 質疑応答事例「投資一任口座(ラップ口座)における株取引の所得区分

(了)

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連載目次

金融・投資商品の税務Q&A

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筆者紹介

  • 箱田 晶子

    (はこだ・あきこ)

    PwC税理士法人 金融部 パートナー。 税理士。

    金融機関、ファンド等に対し、内外の投資信託、仕組債、リッパケージローン等の金融商品に関する税務上のアドバイス、クロスボーダーのファンド投資ストラクチャー組成に関する税務コンサルティングサービスを数多く行っている。

    【主な共著書】
    ・『金融・投資商品の税務Q&A』共著(清文社)
    ・『逐条解説投資信託約款』共著(金融財政事業研究会)
    ・『投資ストラクチャーの税務(九訂版)』共著(税務経理協会)
    ・『信託の税務』共著(税務経理協会)
    ・『法人税重要事例400』共著(税務研究会)

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