平成30年度税制改正における
『連結納税制度』改正事項の解説
【第9回】
(最終回)
「その他の税制改正」
公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸
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[5] その他の税制改正
1 収益認識に関する会計基準への対応
企業会計基準委員会(ASBJ)が平成30年3月30日に公表した「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第30号)」について、その適用に対応するため、税務上の収益の認識基準に関して新たな改正又は既存の取扱いの明確化が行われた。
この「収益認識に関する会計基準」への対応に係る改正について、連結申告法人では、法人税法第81条の3により単体申告法人と同じ条文が適用される。
したがって、具体的な内容は、当該改正に係る他の記事を参照してほしい。
2 組織再編税制に係る改正
組織再編税制に係る改正は以下のとおりである。
① 組織再編税制における適格要件の緩和
② スピンオフ税制の適格要件の緩和
③ 無対価の組織再編成の適格類型の見直しと処理方法の明確化
したがって、具体的な内容は、当該改正に係る他の記事を参照してほしい。
3 特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る連結所得の計算の特例の創設
法人が、改正産業競争力強化法の施行日(平成30年7月9日)から平成33年3月31日までの間に、産業競争力強化法に規定する特別事業再編計画について認定を受けた法人の行った、その認定に係る特別事業再編計画に係る特別事業再編により、その有する他の法人(特別事業再編対象法人)の株式等を譲渡し、その認定を受けた法人の株式の交付を受けた場合には、その譲渡に係る対価の額は、その譲渡に係る原価の額とし、その特別事業再編対象法人の株式等の譲渡損益の計上を繰り延べることとされた(措法66の2の2、68の86、措令39の10の3、39の110)。
連結申告法人に係る『特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る連結所得の計算の特例』は、租税特別措置法第68条の86及び租税特別措置法施行令第39条の110で定められているが、その内容は、租税特別措置法第66条の2の2及び租税特別措置法施行令39の10の3で定める単体申告法人に係る取扱いと基本的に同じである。
したがって、具体的な内容は、当該改正に係る他の記事を参照してほしい。
4 外国子会社合算税制に係る『一定の株式譲渡益の適用対象金額からの控除の特例』
M&Aによって傘下に入ったペーパーカンパニーが所有する外国関係会社の株式を一定の期間内に国内親会社又は他の外国関係会社に譲渡した場合に、その株式譲渡益を合算対象から除外する措置を講ずることになった。
連結申告法人の外国子会社合算税制に係る『一定の株式譲渡益の適用対象金額からの控除の特例』は、租税特別措置法施行令第39条の115第1項第5号及び第2項第18号で定められているが、その内容は、租税特別措置法施行令39の15第1項第5号及び第2項第18号で定める単体申告法人に係る取扱いと基本的に同じである。
したがって、具体的な内容は、当該改正に係る他の記事を参照してほしい。
〔凡例〕
法法・・・法人税法
法令・・・法人税法施行令
法規・・・法人税法施行規則
地方法法・・・地方法人税法
地法・・・地方税法
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
措規・・・租税特別措置法施行規則
国通・・・国税通則法
平成30年所法等改正法・・・所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)
(例)法法34①二・・・法人税法34条1項2号
(連載了)