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平成29年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第9回】「地方税率の改正時期の変更他」

筆者:足立 好幸

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平成29年度税制改正における

『連結納税制度』改正事項の解説

【第9回】
(最終回)

「地方税率の改正時期の変更他」

 

公認会計士・税理士
税理士法人トラスト
足立 好幸

 

連載の目次はこちら

[11] 地方税率の改正時期の変更

平成28年11月28日公布の「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律」により消費税率の10%への引上げ時期が平成31年10月1日に延期されたことに伴って、地方税率の改正についても実施時期が変更されている(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律)。

改正後の法人税、地方税の税率と税効果会計で適用される法定実効税率を示すこととする。

※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。
		右記以外の法人								外形標準課税法人						 		平成28年4月1日以後開始事業年度	平成30年4月1日以後開始事業年度	平成31年10月1日以後開始事業年度		平成28年4月1日以後開始事業年度	平成30年4月1日以後開始事業年度	平成31年10月1日以後開始事業年度		平成28年4月1日以後開始事業年度	平成30年4月1日以後開始事業年度	平成31年10月1日以後開始事業年度		平成28年4月1日以後開始事業年度	平成30年4月1日以後開始事業年度	平成31年10月1日以後開始事業年度 																 		標準税率	標準税率	標準税率		東京都	東京都	東京都		標準税率	標準税率	標準税率		東京都	東京都	東京都 法人税率		23.400%	23.200%	23.200%		23.400%	23.200%	23.200%		23.400%	23.200%	23.200%		23.400%	23.200%	23.200% 地方法人税率		4.400%	4.400%	10.300%		4.400%	4.400%	10.300%		4.400%	4.400%	10.300%		4.400%	4.400%	10.300% 住民税率	制限税率	16.300%	16.300%	10.400%		16.300%	16.300%	10.400%		16.300%	16.300%	10.400%		16.300%	16.300%	10.400% 	標準税率	12.900%	12.900%	7.000%		12.900%	12.900%	7.000%		12.900%	12.900%	7.000%		12.900%	12.900%	7.000% 事業税	所得割	3.400%	3.400%	-		3.650%	3.650%	-		0.300%	0.300%	-		0.395%	0.395%	- 		5.100%	5.100%	-		5.465%	5.465%	-		0.500%	0.500%	-		0.635%	0.635%	- 		6.700%	6.700%	-		7.180%	7.180%	-		0.700%	0.700%	-		0.880%	0.880%	- 	付加価値割	-	-	-		-	-	-		1.200%	1.200%	1.200%		1.260%	1.260%	1.260% 	資本割	-	-	-		-	-	-		0.500%	0.500%	0.500%		0.525%	0.525%	0.525% 地方法人特別税率	税率	43.200%	43.200%	-		43.200%	43.200%	-		414.200%	414.200%	-		414.200%	414.200%	- 	×所得割	1.469%	1.469%	-		1.469%	1.469%	-		1.243%	1.243%	-		1.243%	1.243%	- 		2.203%	2.203%	-		2.203%	2.203%	-		2.071%	2.071%	-		2.071%	2.071%	- 		2.894%	2.894%	-		2.894%	2.894%	-		2.899%	2.899%	-		2.899%	2.899%	- 事業税合計	所得割	4.869%	4.869%	5.000%		5.119%	5.119%	5.250%		1.543%	1.543%	1.900%		1.638%	1.638%	1.995% 		7.303%	7.303%	7.300%		7.668%	7.668%	7.665%		2.571%	2.571%	2.700%		2.706%	2.706%	2.835% 		9.594%	9.594%	9.600%		10.074%	10.074%	10.080%		3.599%	3.599%	3.600%		3.779%	3.779%	3.780% 	制限税率					13.400%	13.400%	19.200%						1.400%	1.400%	7.200% 分母(1+事業税率)		109.594%	109.594%	109.600%		110.074%	110.074%	110.080%		103.599%	103.599%	103.600%		103.779%	103.779%	103.780% 																 法定実効税率(住民税:制限税率、事業税:最高税率)																 法人税及び地方法人税	法人税率×(1+地方法人税率)/(1+事業税率)	22.291%	22.100%	23.348%		22.194%	22.004%	23.246%		23.581%	23.379%	24.700%		23.540%	23.339%	24.658% 住民税	法人税率×住民税率/(1+事業税率)	3.480%	3.451%	2.201%		3.465%	3.435%	2.192%		3.682%	3.650%	2.329%		3.675%	3.644%	2.325% 事業税	事業税率/(1+事業税率)	8.754%	8.754%	8.759%		9.152%	9.152%	9.157%		3.474%	3.474%	3.475%		3.642%	3.642%	3.642% 合計税率		34.526%	34.305%	34.309%		34.811%	34.592%	34.595%		30.737%	30.504%	30.504%		30.857%	30.624%	30.625% 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額	住民税率/(1+事業税率)	14.873%	14.873%	9.489%		14.808%	14.808%	9.448%		15.734%	15.734%	10.039%		15.706%	15.706%	10.021%

以上のように、平成30年4月1日以後開始事業年度と平成31年10月1日以後開始事業年度について、合計の法定実効税率は30.62%で変わらないため、単体納税の税効果会計(繰延税金資産の計算)には影響は生じない。

一方、法人税及び地方法人税の法定実効税率と住民税の法定実効税率の内訳が変わるため、連結納税の税効果会計において、法人税及び地方法人税と住民税で将来減算一時差異等の回収可能額が異なる場合、計算される繰延税金資産についても異なることとなる。

 

[12] 組織再編税制に係る改正

連結納税における組織再編税制の取扱いについては、次に掲げる条文以外、単体納税と同じ条文が適用され、単体納税と同じ取扱いになる(法法81の3)。

法人税法第57条(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し)

連結納税では、法人税法第81条の9(連結欠損金の繰越し)が適用される。

法人税法第57条の2(特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用)

法人税法第81条の10(特定株主等によって支配された欠損等連結法人の連結欠損金の繰越しの不適用)が適用される。

したがって、組織再編税制の適用範囲、適格要件、適格・非適格の譲渡資産・保有資産の取扱い、株主課税(株式譲渡損益とみなし配当)などは、連結納税を採用している場合も、単体納税と同じ取扱いとなる。

一方、連結納税特有の取扱いのうち、次に掲げるものについて、組織再編税制の取扱いが影響を与える。

  • 特定連結子法人の範囲について、適格合併、適格株式交換等、適格株式移転によって連結子法人となった法人が一定の要件を満たす場合、特定連結子法人に該当する(法法61の11①、61の12①)。
  • 組織再編が行われた場合、合併法人等となる連結法人の連結欠損金個別帰属額の利用制限と連結法人以外の被合併法人・残余財産確定法人の繰越欠損金の引継ぎ及び引継制限について、法人税法第57条第2項、第3項、第4項が準用される(法法81の9②二・⑤三、法令155の20⑤)。
  • 連結子法人株式の帳簿価額修正に係る譲渡等修正事由から適格組織再編成による譲渡等が除かれる(法令9②、9の2②)。

そして、平成29年度税制改正のうち、組織再編税制に係るものについては、以下の改正項目があるが、【第2回】「スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大」で解説した改正内容を除いて、連結納税における取扱いは単体納税と同じ取扱いになる。

そのため、具体的な改正内容は、組織再編税制に係る他の改正記事を参照してほしい。

1 スピンオフ課税の見直し

2 スクイーズアウト課税の見直し

3 非適格株式交換等に係る時価評価資産の対象範囲の見直し

4 全部取得条項付種類株式割当方式に係るみなし配当課税の見直し

5 組織再編税制における適格要件の見直し

6 営業権等の償却方法の見直し

7 組織再編成における欠損金と含み損の使用制限額の見直し

8 欠損等法人に係る繰越欠損金と含み損の使用制限の見直し

【参考記事】
平成29年度税制改正における『組織再編税制』改正事項の確認

  • 【第2回】
    3 スクイーズアウト税制
    (1) 対価要件の見直し
  • 【第3回】
    (2) 全部取得条項付種類株式、株式併合及び株式等売渡請求
    ①  基本的な取扱い
    ② 無対価スクイーズアウト
    ③ 連結納税制度への影響
  • 【第4回】
    4 支配関係継続要件の見直し
    5 株式継続保有要件の見直し
  • 【第5回】
    6 2段階組織再編成の見直し
    7 資産調整勘定の償却の見直し
    8 繰越欠損金、特定資産譲渡等損失の見直し
    9 むすび

 

[13] タックス・ヘイブン税制の総合的見直し

連結法人に係る外国子会社合算税制は、租税特別措置法第68条の90で定められているが、その内容は、租税特別措置法第66条の6で定める内国法人(単体申告法人)に係る外国子会社合算税制と同じである。

そして、平成29年度税制改正では、BEPS報告を踏まえて、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度について、内国法人の外国子会社合算税制(措法66の6)について、抜本的な改正が行われているが、連結法人に係る外国子会社合算税制(措法68の90)についても同じ内容の改正が行われている(平成29年所法等改正法附則1五、85①②)。

したがって、具体的な改正内容は、外国子会社合算税制に係る他の改正記事を参照してほしい。

なお、単体申告法人と異なり、連結親法人がまとめて、各連結法人に係る次に掲げる外国関係会社の財務諸表等を連結確定申告書に添付しなければならない(措法68の90⑪、66の6⑪)。

 租税負担割合が20%未満の外国関係会社(特定外国関係会社を除く)

 租税負担割合が30%未満の特定外国関係会社(ペーパーカンパニー、事実上のキャッシュボックス、ブラックリスト国所在のもの)

 

〔凡例〕
新法法・・・(平成29年度税制改正後の)法人税法
新法令・・・(平成29年度税制改正後の)法人税法施行令
新法規・・・(平成29年度税制改正後の)法人税法施行規則
新地方法・・・(平成29年度税制改正後の)地方法人税法
新地法・・・(平成29年度税制改正後の)地方税法
新地令・・・(平成29年度税制改正後の)地方税法施行令
新措法・・・(平成29年度税制改正後の)租税特別措置法
旧措法・・・(平成29年度税制改正前の)租税特別措置法
新措令・・・(平成29年度税制改正後の)租税特別措置法施行令
旧措令・・・(平成29年度税制改正前の)租税特別措置法施行令
平成29年改正法令・・・法人税法施行令等の一部を改正する政令(平成29年政令第106号)
連基通・・・連結納税基本通達
新連基通・・・(平成29年度税制改正後の)連結納税基本通達
(例)新法法122の12①四・・・(平成29年度税制改正後の)法人税法122条の12第1項第4号

(連載了)

連載目次

税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 

▷平成31年度税制改正(全8回)

▷平成30年度税制改正(全9回)

▷平成29年度税制改正(全9回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

はじめに

[1] 非特定連結子法人の時価評価資産の対象範囲の見直し

1 改正内容

2 『自己創設営業権』の評価問題が解消!

3 連結納税開始日・加入日が平成29年10月1日の場合は旧税制が適用に!

4 どうせ時価課税されるなら、合併で時価譲渡になる方がいいのか、スクイーズアウトで時価評価される方がいいのか?(時価課税の有利・不利)

【第2回】 スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

[2] スクイーズアウトにおける特定連結子法人の範囲の拡大

1 改正内容

2 連結納税の不利益を受けずに少数株主排除が可能に!

3 連結納税開始日が平成29年10月1日以後であっても、株式交換等が平成29年9月30日以前に行われた場合は旧税制が適用される!

4 全部取得条項付種類株式方式又は株式併合方式により連結納税に加入した場合、「完全支配関係を有することとなった日」はいつになるのか?

【第3回】 研究開発税制の見直し

[3] 研究開発税制の見直し

【第4回】 所得拡大促進税制の見直し他

[4] 所得拡大促進税制の見直し

[5] 役員給与等の見直し

[6] 地域未来投資促進税制の創設

【第5回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その1)

[7] 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充

1 中小企業経営強化税制の創設

【第6回】 中小企業者向け設備投資促進税制の拡充(その2)

2 中小企業投資促進税制の見直しと適用期限の延長

3 商業・サービス業活性化税制の適用期限の延長

【第7回】 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限、災害特例措置

[8] 震災・災害に関する税制措置の整備

[9] 中小企業者向け租税特別措置の適用法人の制限

【第8回】 連結法人の申告期限の延長の見直し

[10] 連結法人の申告期限の延長の見直し

1 法人税の申告期限の延長について

2 事業税の申告期限の延長について

【第9回】 地方税率の改正時期の変更他

[11] 地方税率の改正時期の変更

[12] 組織再編税制に係る改正

[13] タックス・ヘイブン税制の総合的見直し

▷平成28年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率等の改正

~はじめに~

[1] 連結法人税、連結地方法人税、住民税、事業税の税率の改正

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し

[2] 連結欠損金の繰越控除制度の見直し

[3] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[4] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第3回】 減価償却制度の見直し

[5] 減価償却制度の見直し

【第4回】 役員給与の見直し

[6] 役員給与の見直し

【第5回】 雇用促進税制の見直し

[7] 雇用促進税制の見直し

【第6回】 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

[8] 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設

【第7回】 組織再編関連税制の見直し

[9] 適格現物出資の見直し

[10] 組織再編税制の見直し

【第8回】 移転価格文書化制度(その1)

[11] 移転価格文書化制度

1 多国籍企業グループの移転価格文書化制度

(1) 国別報告書

【第9回】 移転価格文書化制度(その2)

(2) マスターファイル(事業概況報告事項)

【第10回】 移転価格文書化制度(その3)

(3) ローカルファイル(独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類)

2 国外事業所等との内部取引に係る移転価格文書化制度

【第11回】 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

[12] 日台民間租税取決めに規定された内容の実施に係る国内法の整備

【第12回】 その他国際税務の改正・固定資産税の特例措置

[13] 外国子会社合算税制(タックス・ヘイブン税制)の見直し

[14] 国際課税原則の帰属主義への変更の円滑な実施

[15] 機械装置の固定資産税の特例措置の創設

▷平成27年度税制改正(全12回)

※クリックすると表示されます

【第1回】 法人税率の引下げ

~はじめに~

[1] 連結法人税率の引下げ

【第2回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その1)

[2] 連結欠損金の控除限度額の段階的引下げ

(1) 連結欠損金の控除限度額の段階的引き下げ

(2) 連結所得金額の100%を控除限度額とする特例

① 中小法人等

② 経営再建中の法人

【第3回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その2)

③ 新設法人

【第4回】 欠損金の繰越控除制度の見直し(その3)

[3] 連結欠損金の繰越期間の延長

[4] 事業税に係る繰越欠損金の繰越控除制度の見直し

[5] 控除対象個別帰属調整額及び控除対象個別帰属税額の繰越控除制度の見直し

【第5回】 受取配当等の益金不算入制度の見直し

[6] 連結納税適用法人に係る受取配当等の益金不算入制度の見直し

【第6回】 研究開発税制の見直し

[7] 連結納税適用法人に係る研究開発税制の見直し

【第7回】 地方拠点強化税制の創設(その1)

[8] 連結納税適用法人に係る地方拠点強化税制の創設

(1) 改正の概要

(2) 地方拠点建物等の取得費の特例措置

【第8回】 地方拠点強化税制の創設(その2)

(3) 雇用促進税制の拡充

【第9回】 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

[9] 特定資産の買換えの場合の課税の特例の縮減・延長

【第10回】 所得拡大促進税制・その他の租税特別措置法上の見直し

[10] 連結納税適用法人に係る所得拡大促進税制の見直し

[11] その他の租税特別措置法上の見直し

【第11回】 事業税の改正

[12] 連結納税適用法人に係る事業税の改正

【第12回】 国際税務の改正

[13] 連結納税適用法人に係る国際税務の改正

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